会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2001年08月発行 第87号 DDKだより
金融・経営相談:不良債権処理策の隠された意図
Q. 小泉内閣が掲げる不良債権処理政策では、要注意先にも影響が及ぶのですか。--------------------------------------------------------------------------------
今月の相談員
田口 良一
国民金融公庫出身
祝経営研究所次長
A. ① 銀行によって破綻懸念先、実質破綻先、破綻先と格付けされた中小企業は、2年以内(2003年3月まで)に退場を命じられる、-これが今回の参院選の争点になり、その中で「正常先」は勿論大丈夫であり、「要注意先」(中小企業の多数派が該当)も大丈夫だ、という受けとめ方が広がりました。しかし、これは誤った楽観論です。
② 森内閣が対米公約し、小泉内閣が引き継いだ「金融機関の不良債権問題と企業の過剰債務問題の一体的解決」の項目には次の文章が書き込まれています。
「(政府は)各金融機関に対し、要注意先債権等の健全債権化及び不良債権の新規発生の防止のための体制整備を求める」と。
③ この文章の前段の意味は、要注意先向けの貸付金を健全債権化するために、銀行側の体制整備を求める、というものであり、そして健全債権(業界用語)とは、優良担保付き債権(預金又は国債の担保)と優良保証付き債権(保証協会付き)のことです。
結局、文章前段の意味は、既往貸付分についても、預金担保要求や保証協会付きに借り換えるよう体制整備せよ、ということになります。
④ さらに、文章の後段は、要注意先がやがて破綻懸念先に格下げになって、不良債権化する危険を防ぐために、不動産担保貸付金については流動化(第三者へ売却)する体制を整備せよ、というアメリカ流の考え方がかくされているのです。
小泉内閣の唱える不良債権最終処理政策は、既存の中小企業の半減化を求める米国の要求ともいわれているものです。日本の国民の誰も予想していない無謀な政策と言わなければなりません。
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