会報誌(DDKだより)

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2001年11月発行 第90号 DDKだより

巻頭言:「ゼロ成長社会」を考える

前顧問  河野 先       
     (株)第一経理 会長
     全国中小企業家同友会全国協議会幹事長

  
 


 新世紀初頭の憎むべき悲しい出来事、アメリカで起きた同時多発テロでの、多くの犠牲者およびその家族の方々に哀悼の意を表します。
 情報技術(IT)バブルの崩壊に加えた今回の事件により、世界経済は同時不況に陥りかねない状況です。
 日本経済も新しい複合不況の様相を深めています。
 デフレ下のルールなき競争激化は日本経済の基盤そのものを崩壊しかねません。
 小泉「骨太方針」の具体化以前に、大手企業のなりふりかまわぬリストラと社会保障関連の改悪で、国民の痛みと不安は日増しに高まっています。
 地域経済と雇用を支える私達中小企業は、「ゼロ成長社会」を視野にした経済社会で、どのようにして企業を維持させていくかが問われています。
 中小企業家同友会の今年度運動方針の一部を紹介します。
 “それでは「ゼロ成長社会」は夢の乏しい、活力のない社会になるのでしょうか。19世紀のイギリスの経済学者であるジョン・ステュアート・ミルは『経済学原理』(1848年版)において、「ゼロ成長社会」は‐‐‐‐‐‐‐、精神的に豊かな社会になりうるばかりか、技術も人間を豊かにするために使われる可能性をもっているといっています。すなわち定常経済を意味する、拡大再生産ではない単純再生産で社会を維持していくことが十分可能であるというのです。
 日本のようなGDP大国では経済規模が大きいだけに、この単純再生産を維持するためだけでも更新投資などを膨大に行わなければなりません。(略)
 問題は、「ゼロ成長社会」においては、個々の企業は高度成長型経済社会の発想を抜本的に転換しなければならないことです。(略)
 それを、経営の原点に返って徹底的に研究して、「ゼロ成長」でも生きていける企業に企業革新することができるかどうかに、経営のカギがあるのです。”
 当協同組合は、異業種・広域の企業の集まりという優位性をもっています。情報化時代に対応したネットワークを生かし協力共同して新たな仕事づくりに挑戦しようではありませんか。