会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2002年01月発行 第92号 DDKだより
巻頭言:新年を迎えて
理事長 河原 八洋(株)ローヤルエンジニアリング 代表取締役
東京中小企業家同友会理事
新年明けましておめでとうございます。
恒例の挨拶もあまり似合わない幕開けになったように思われます。
マスコミに登場する評論家と言われる人たちで誰一人として「素晴らしい良い年」になると予想した人はいません。内閣府による世論調査によると、生活に不安を持っている人は国民の3人に2人、65%だそうです。
同じ調査で「働く目的」を聞いたところ、「お金を得るために働く」が2人に1人の答えでトップです。
私の会社では、新入社員にいつも「あなたは何のために働くのですか?」と聞いて討論させます。はじめは考えたことも無いというような顔をしていますが、そのうちにいろいろと出てきます。「食べていくため」「親から自立して生活するため」、さらに「ほしい車を買うため」「自分の趣味を生かすため」とつづき、最後は「お客様に喜んでもらうため」「社会の役に立ちたいため」となります。毎年同じです。これから夢や希望をもって社会に参画していく青年らしい答えだと思って満足しています。
それに比べ調査結果はGDP世界第2位で、国民の金融資産が1,400兆円もある国としては、実に寂しいものですが、それが実感です。
携帯電話は子供まで持っていて、いつでもどこでも連絡を取ることが出来、コンビニ店は24時間休みなく営業しています。インターネットは世界の情報を瞬時に提供してくれます。実に効率的で便利な社会になっていますが、それで人は幸せになってきましたでしょうか。お金儲けや効率性の追及だけで生活に不安のない社会が出来るのでしょうか。人間の欲望には限りがありません。
無着成恭さんのお寺・福泉寺座禅堂には「知足」の二文字が掲げられております。足りたるを知り満足して生きることが人にとって幸せに生きることだと教えています。
今年はサッカーのワールドカップも行われます。評論家の予想などあたったためしがありません。なぜなら世の中は人の心が構成しているからです。我々の気持ちの持ち方で如何にでも変えられます。
元気で行きましょう。