会報誌(DDKだより)

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2002年02月発行 第93号 DDKだより

巻頭言:小泉さん、不良債権処理で23万社倒産させるのはテロと同じですよ

前顧問  岩井 義照       
   祝経営研究所所長

 

 債権処理の問題が一向に表にでてこない。私が繰り返し主張しているが、中小企業の不良債権が23兆円、約23万社が2年以内に法的処理を受け結局倒産に追い込まれる。これに伴う失業者が120万人以上、またこのため地方銀行の破綻だけでも30行以上と予想され、平成恐慌をも引き起こしかねない誤った決定である。しかしこの問題で政府は沈黙を守り、マスコミも全く取り上げず、金融庁によって処理の実務のみが着々と進められている。
 不良債権処理はアメリカ大統領からの直接命令であり(完全な内政干渉)その本当のねらいは日本のかなりの地方銀行を潰し、おろされた国民の預金、金融資産をアメリカの景気回復のためアメリカ株式投資と国債購入に充てさせるのが目的である。政府はこれに協力するため、小泉は「不良債権の処理なくして景気回復なし」と繰り返し主張し、政府筋は「日本の地方銀行は多すぎる、一県一行・一信金で充分」と主張し、既に淘汰する30数行の銀行名を一部マスコミなどに発表している。
 不良債権の処理に加えて、金融機関が潰れれば、取引している膨大な正常企業は取引金融機関を失う。借入金はすべて整理回収機構に移され、5年以内に全額返済するよう要求され、出来なければ法的整理に追い込まれる。これがどれ程の企業数になるのか想像もつかない。正に狂気の沙汰である。
 小泉首相にしても、竹中経済大臣にしても景気回復プランを全く持っていない。経済再建プランを国民に提示したことは一度もない。ただ言っているのは「構造改革なくして景気回復なし」「不良債権処理なくして景気回復なし」の妄言のみである。
 構造改革と景気対策とはむしろ矛盾する。政府の構造改革とは行・財政のリストラであるから、景気は当然悪化する。だからこそ、併せて明確な景気回復のプランを発表し、併行して実施しなければならない。経済再建のプランを示さず、破壊だけするのは、テロと同質である。いま日本経済の破壊だけが着実に進められている。