会報誌(DDKだより)

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2004年08月発行 第123号 DDKだより

巻頭言:地域再生と環境保全-辺境の故郷をみて-

亀井賢伍 



高齢化・過疎化の流れ 
 7月上旬帰郷しました。広島県の西の端、山口との県境にある山村です。昨年合併により市に「昇格」しましたが高齢化と過疎化は続いています。現在戸数は341戸、人口は933人。半世紀前に比べると戸数は1割減っているだけですが人口は半減、児童数は4分の1とのことです。お年寄り世帯の増加を物語っています。敗戦までは林業が盛んでしたが、いまは兼業農家が多く、米作りのほかナスやイチゴのハウス栽培が行われています。荒廃農地も散見されます。 
変貌する自然環境 
 猿や猪の出没が増え農作物を食い荒らす。猿が「獲物」を両脇に抱え子猿のもとに跳んで行く。キジも直ぐ裏の畑で鳴く。マムシが家の周りに多いので気をつけて。etc.驚きの連続です。 
 下苅りしていない山は分け入るのも一苦労。さし込む光も少なくキノコも生えにくいでしょう。松はマツクイムシにやられ立ち枯れが目立ちます。酸性雨の影響との声もあるようです。一方竹が猛烈な勢いで広がり中腹まで席巻している山も見受けられます。環境保全、国土保全など多面的機能をもつ山の手入れには、国や自治体も対策を講ずべきでしょう。「無償の番人」に甘えてばかりでは手痛いシッペ返しをうけます。雇用効果も期待できる筈です。 
農村文化の保全も 
 十数年間、空家になっていた築120年余りの生家を、企業を定年退職した弟が自力で改修し生活できる状態にした上、水車まで復元していたのには感激しました。 
 ほぼ毎日のように通って古い備品の整理、花や野菜づくり、山の手入れをしています。ゆくゆくは炭焼きや陶芸、こども向けの木工教室を開き、昔の暮らしも語り伝えたいと夢をふくらませていました。 
 集落の行事にも進んで参加し、昔とった杵柄で頼りにされているようです。 
 
 地域の再生、田舎くらし、退職後の生き方など多少とも参考になればと思い、ごく身近な見聞を紹介した次第です。