会報誌(DDKだより)

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2004年09月発行 第124号 DDKだより

金融・経営相談:ゴルフ会員権をめぐる税務のポイント

Q.個人所有と法人所有ではゴルフ会員権の損失の税務上の取り扱いが違うと聞きました。税務上のポイントを教えてください。


今月の相談員 
平石共子 
教育委員会委員長
(株)第一経理取締役
税理士 



A.ゴルフ会員権が不良債権化しているケースが増えています。法人所有の場合と個人所有の場合では、損失の取り扱いが異なります。ゴルフ場を利用して実際にプレーを楽しんでいるのであればそのまま所有する場合もあるかもしれませんが、個人の場合は、ゴルフ会員権が値下がりして含み損があっても、売却しない限り損失処理することはできません。 
 また、現状では譲渡損失は他の所得と損益通算できます。たとえば給与所得が1000万の場合、そこから譲渡損失が400万あれば差し引いて、600万円について税金の計算をすることになっています。  ところが、今後の税制改正で損益通算ができなくなるともささやかれています。これは平成16年度の改正で、土地建物の譲渡損失については損益通算ができなくなったこともあり、次はゴルフ会員権と目されているためです。だから今年中に売った方がいいとは断言できませんが、検討はしておく必要があるかもしれません。  
 もう一つ、個人所有の場合、ゴルフ場経営会社が破綻してもプレー権があれば、会員権の譲渡損失については他の所得と損益通算できますが、プレー権がなくなった預託金制の会員権についての譲渡損失は損益通算できません。最近では預託金制会員権の場合、民事再生法による再建計画で預託金が一部切り捨てになるケースも多く見られますが、その損失は単なる家事上の損失として損益通算はできません。  
 その点、法人所有の場合は、損益通算という考え方はありませんから、売却して損失がでれば、プレー権の有無に関わらず損失になります。 預託金の一部が切り捨てられることが決定したときも、プレー権の有無に関わらず貸倒損失として損失計上できます。貸倒損失は預託金制に限られます。  
 
※ゴルフ会員権の形態は、①預託金制会員権、②株主会員制会員権、③社団法人制会員権がありますが、ここではプレー権と預託金返還請求権で構成される預託金制会員権について記述しました。