会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2004年11月発行 第126号 DDKだより
巻頭言:クマ騒動から思うこと。
顧問 亀井賢伍今年、クマが人里へ出没する“事件”が相次ぎ人身被害もありました。原因は複合的のようですが①酷暑、台風など異常気象による餌不足②里山の荒廃による人とクマとの境界帯の崩壊がとくに指摘されています。
異常気象は文明の所産
子どもの頃、台風が来るのは二百十日(9月1日頃)二百二十日(9月10日頃)頃と相場が決まっていました。農作業の段どりも、これに合わせてたてられていました。それが今年は時期(6月~10月)も回数(10回)も常識を超えています。各地に甚大な被害をもたらした集中豪雨・台風は、それ自体は自然現象ですが、異常さは地球温暖化に起因するもので「文明が生みだした病理的症候」に他なりません。救援や復興、災害防止など緊急対策が急がれることは論を俟ちませんが、ここでは地球温暖化と里山の復興について述べます。
温暖化防止に本腰を
地球温暖化防止に向け温室効果ガス(二酸化炭素など)の削減目標を定めた「京都議定書」がようやく来年2月頃発効の見通しです。合意後7年以上もかかったのは、アメリカが身勝手な理由で離脱したからです。
遅れをとり戻す真剣な努力が求められます。日本の削減目標は今のままでは達成できそうもありません。個人や家庭もさること乍ら、政府は産業界に対し強力に「指導」しなくてはなりません。EUによい先例があります。手を拱いていると、今年のような災害が拡大再生産されることとなります。平和の問題と同じく人類の生存条件に関わる大問題です。
里山の再生
里山が荒れています。里山はクマと人間との「緩衝地帯」に止まらず、人々に多くの恵みを与えてきました。 里山再生は、クマ対策に限らず有意義な事業です。社会に役立つ仕事を求めている人が沢山います。所有者(地権者)、行政、地域住民、NPOなどが協力して「仕事づくり」のシステムを作ることを切望します。