会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2005年02月発行 第129号 DDKだより
金融・経営相談:新会社にどう対応するかはそれぞれの会社の判断による選択
Q.有限会社がなくなるという話を聞きました。株式会社も今までと変わるようですが、具体的に影響があるところを教えてください。今月の相談員
教育委員会委員長
(株)第一経理取締役
税理士 平石共子
A.新会社法案には有限会社法が廃止されるという内容も入っています。現在のスケジュールでは、開催中の通常国会に新会社法案が上程され、施行日は2006年4月1日となっています。したがって、来年の4月以降は有限会社の設立はできません。ただし、既存の有限会社はそのまま残り、新会社法施行後も引き続き経過措置として当面は現行と同じ取扱いになります。また株式会社への変更を選択することもできます。ただ、大きな流れは株式会社へ一本化される方向です。その場合、現在、有限会社には決算公告義務や役員任期はないのですが、これらの手続きが必要になってきます。
さて、新会社法の全体像を見てみましょう。現在会社に関する法律は商法第2編(会社)、有限会社法、商法特例法がありますが、これを一つにまとめて会社法(仮称)として、現代語化を図るというものです。現在カタカナ文語体の表記がひらがな口語体になります。用語の整理をするとともに内容的にも現代化を図るものです。
株式会社はその中で、まず大きく譲渡制限がある会社とない会社に分かれます。これは定款で定められているものですが、通常の中小会社は譲渡制限会社(株式の譲渡について取締役会の承認が必要な会社)がほとんどです。譲渡制限会社はさらに2つに分類されます。①取締役会を設置しない会社。これは最低取締役1人以上で業務執行を行い、株主総会でなんでも決定する。②取締役会設置会社。これは取締役3人以上に、会計参与、監査役(会)、または三委員会等のいずれかを選択し設置するというものです。
現行の株式会社は、職権により取締役会設置会社である旨の登記に変更することが検討されています。設置しない会社は、登記の変更手続きが必要になります。なお、債権者保護を唱えて押し進められた最低資本金制度は撤廃となります。
来年4月以降は制度をよく理解して、それぞれの会社が自己判断により、どのタイプを選択するかを決めていくことになります。
[法制審議会会社法部会「会社法制の現代化に関する要綱案」(平成16年12月8日)による]