会報誌(DDKだより)
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2005年04月発行 第131号 DDKだより
巻頭言:負担増の痛みと経済への悪影響
亀井賢伍以前本欄に痛みについて書きました。不良債権早期処理に伴う倒産→失業を危惧してのことでした。あれから3年半余り。不良債権処理は一段落し、勝ち組企業は利益を大幅に増やしています。では国民の多数は痛みに耐えた甲斐があったでしょうか。
際限なく広がる痛み
本格増税路線で痛みはさらに広がりそうです。サラリーマンも業者も年金生活者もフリーターも、まさに“老いも若きも”負担増です。私は年金収入だけで、いままで税金はかかりませんでしたが、この2月の年金から所得税7400円を源泉徴収され始めました。年金生活者で増税になる人は500万人、消費税の免税点引下げで課税される業者は180万人に及びます。
税金以外も含めた負担増は今後2年間で7兆円と云われています。「酉年はとれるところからとりまくる」(朝日川柳)と調子に乗っていると手痛い反撃を受けるでしょう。
経済への悪影響
さて負担増には、痛みのほかに経済への影響という問題があります。景気回復には消費の増加が欠かせません。消費の増加には家計の「所得の増加が鍵」(内閣府レポート)です。消費に回せる貯蓄が減っているからです。この6年間貯蓄は9兆円もとり崩されているのです。
増税・負担増路線は家計の所得を奪うものですから景気回復とは正反対の政策にほかなりません。企業の利益が増えているから大丈夫との声もありますが見当違いです。
80年代までは、確かに企業業績の向上は雇用増、賃上げ等を通じて家計に回る好循環メカニズムが働いていました。けれども95年以降は企業の収益増加が家計に波及しない構造になっています。具体的には、人減らし、賃下げ、非正規雇用へのおき換えなど「リストラ効果」による利益なのです。家計を犠牲にしての企業利益増加は本物の景気回復ではありません。だとすれば負担増は政策不況を招く惧れが強いと云わねばなりません。