会報誌(DDKだより)

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2006年08月発行 第147号 DDKだより

巻頭言:金利上昇局面を迎えて

亀井賢伍 



 3月の「量的緩和」解除に次いで7月に「ゼロ金利」が解除されました。金利は上昇局面に入っています。預金金利はさておき事業資金の借入金利について述べます。 
◆肝心なのは自社の金利 短期プライムレートや長期
 プライムレートの動きが報道され気になります。が、住宅ローンや定型ローンと違って、通常の事業資金の金利は企業ごとに異なります。経営者(評論家に非ず)にとって大切なのは自社の金利です。そこには銀行の評価が表れています。改善の手がかりにもなるものです。注視しましょう。 
◆一方的引上げは認められない 
 かつて、銀行は取引約定書を楯に、一方的に金利を引き上げていました。いまでは、こうした不公正は通用しません。引き上げの都度債務者と協議しなくてはなりません〔注〕。上げ幅は小さい程よいに決まっていますが、他行の対応等見ながら合理的な線で折り合いましょう。対等・平等の立場で臨むことです。なお、銀行は貸出金利の引き上げ時には、いそいそと早く、大きく、引き下げ時には、しぶしぶと遅く、小さく、したがる特性(悲しい性)を持っていることをお忘れなく。 
◆変動型はルール通りかチェック 
 変動時期や変動幅が決められている変動型借入の場合、ルール通りなされているかチェックして下さい。例えば変動時期は、短プラ変更の都度、或いは年2回、変動幅は短プラ+○○%などの基準があります。
(以下は引き上げ幅が大きいときにお読み下さい。)
◆金利引き上げの影響と対策
金利引き上げは①損益上は、利益減少要因、②資金収支上は、資金流出要因です。それぞれ対策が求められます。一例として②の資金繰り対策としては、借入金の返済条件を変更して元利合計での返済額を増やさないことが考えられます。
◆資金やコスト意識の涵養
 売掛金や在庫を減らせば、必要運転資金は少なくてすみます(資金運用表)。売上代金の回収条件(回収期間、手形の比率、手形サイト)は、運転資金の必要量や金利コストに影響します。営業マン教育のテーマに加えましょう。
 
〔注〕「DDKだより」2004年11月号 「新『銀行取引約定書』と借入金利変更申出権」 (伊藤 勝)参照