会報誌(DDKだより)

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2006年08月発行 第147号 DDKだより

金融・経営相談:会社法の施行によって決算書のスタイルが変わる?!

Q.会社法の施行によって決算書のスタイルが変わるということですが、具体的にはどう変わるのですか? 実務上気をつけなければならない点を教えてください。



今月の相談員 
教育委員会委員長
(株)第一経理取締役
税理士 平石共子 



A.会社法の施行日が今年の5月1日だったので、5月1日以後に終了する事業年度、したがって通常は5月決算の法人から変更になります。  今まで決算書は貸借対照表、損益計算書、利益処分案の3点セットでした。これが、これからは貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の4点セットになります。  
 何が一番変わったのかというと、利益処分案がなくなって、株主資本等変動計算書に変わったことです。耳慣れない名前ですが、貸借対照表の資本の部の一年間の変動(増減)がわかる計算書です。横型と縦型の2通りの表示方法がありますが、原則は横型です。といっても普通は資本金が変わることはめったにありませんから、利益(あるいは損失)の増減が記載されることになります。  
 さらに、貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」という名称に変更となり、従来の「当期未処分利益」が「繰越利益剰余金」に変わります。また、損益計算書は、今まで、当期純利益に前期繰越利益を加算して当期未処分利益とし、利益処分案につながっていたのですが、当期純利益までの表示となります。会計ソフトについては、会社法対応のソフトにバージョンアップする必要があるでしょう。  
 実務上の一番の変化は、利益処分案がなくなったことです。従来、定時株主総会で役員賞与や利益の配当を決議していた会社は、総会の議案としては、役員賞与支給の件、剰余金の配当の件とします。役員賞与についてはその決算において、次の仕訳を計上します。  
 役員賞与(費用)×××/役員賞与引当金(負債)×××  
 決算において一旦費用処理し、税務上は損金不算入なので、別表4で加算することになります。  
 配当については、株主資本等変動計算書の注記として、配当金の総額、1株あたりの配当額、基準日、効力発生日を記入することになります。  
 利益処分がなくなったのは、考え方が剰余金の処分に変わったからです。実行するかどうかは別として純資産額が300万円まで分配可能となっています。