会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2007年02月発行 第153号 DDKだより
金融・経営相談:役員報酬の取り扱いが厳密になり、期中増額は原則禁止
Q.役員報酬に対する税務上の取り扱いが変わったと聞きました。実務上の注意点を教えてください。今月の相談員
税理士 平石 共子
A.ご質問のように昨年の4月から、税制改正により役員報酬の取り扱いが変わっています。どのように変わったかというと、従来の考え方は、役員報酬を「定期的な給与」か「臨時的な給与」かにより区分して、税務上の取り扱いは次の3つがポイントでした。① 役員報酬のうち、不相当高額な部分は損金不算入(税務上の費用とならない)② 役員賞与は、損金不算入(使用人兼務役員の使用人部分賞与を除く)③ 役員退職給与は損金経理が要件で、不相当高額な部分は損金不算入
役員報酬は定期の給与(一般的には月額報酬)と非常勤役員に半年毎あるいは年1回支給するものとし、不相当に高額でない限り税務上制約はありませんでした。もちろん定期の給与ですから事業年度の途中で増額したり減額したりすることは原則禁止ですが、定款または株主総会の定めた支給限度額以内で、取締役会議事録で変更の承認が得られていれば認められていました。逆に、役員賞与は無条件に損金不算入扱いなので、実務上はなるべく役員賞与は出さないようにして、出すとしても利益処分により行われてきました。
平成18年4月1日より、役員に対する給与のうち次の3つを限定として損金算入とし、この3点以外は損金不算入とする扱いに変わりました。
① 定期同額給与
② 事前確定届出賞与
③ 非同族会社の業績連動型役員賞与
定期同額給与は従来よりも規定が厳密になり、事業年度開始以後3か月以内の改定しか認められません。これではあまりにも厳しいので、業績悪化により減額した場合は認められることになっています。従来、株主総会で増額が決定した場合、期首にさかのぼって増額が認められていましたが、この規定もなくなったので注意が必要です。
もう一つの大きな改定は役員賞与が損金にできるようになったことです。ただし、事前確定届出が必要で、業務執行開始の日か、事業年度開始以後3か月のいずれか早い日までに役員給与の支給額、支給時期を税務署に提出することが要件です。
なお、役員退職金については改定はなく従来どおりの扱いとなっています。