会報誌(DDKだより)

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2007年03月発行 第154号 DDKだより

金融・経営相談:長プラと政府系の基準金利はなぜちがう

Q.本誌(DDKだより)の「金利情報」欄で、長期プライムレート(長プラ)と政府金融機関基準金利(基準金利)とが一致しないことが目につきます。なぜでしょうか。


今月の相談員
国民金融公庫出身 田口 良一


A.戦後、数10年間維持してきた、長プラ=基準金利という政策が昨年4月から変わったからです。そして長プラ金利は従来通り5年もの利付金融債に0.9%を上乗せして決められています。
他方、基準金利はこの方式をやめて「財投資金(5年もの国債)からの借入利率に一定の利率を上乗せして決める」。その上乗せ利率は「国民負担の極小化の観点で決める」としたのです。
5年もの国債の利率は、5年もの金融債より調達金利は安いのに、基準金利が長プラよりも高くなるのは、利鞘を大きくしたからです。
商工中金以外の政府系は統合されて、株式会社化することとされています。なぜ株式会社なのか。赤字を出したら経営責任を負わせるためです。
しかし、政府はこれだけでは満足せず、さらに「リスク対応金利制」の採用をせまっています。その狙いは、民間金融機関と一緒になって、体力が弱くなった経営からは高い金利をとって、市場から退場を早める政策機関に変身させようとするものです。
格差拡大の中小企業版と言うほかありません。中小企業応援のため、基準金利には厳重な歯止め策が求められます。