会報誌(DDKだより)

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2008年02月発行 第165号 DDKだより

巻頭言:「偽」の蔓延に思う

亀井 賢伍

ニセものは古くからありました。海外ニセブランドでは買手も承知のケースが少なくありません。害悪の程度もまちまちです。数年前の耐震偽装にはじまった「偽」の発覚は食品、請負(労働)、年金と身近で続出し、昨年はついに漢字に「偽」が選ばれました。翻ってみると、イラク戦争は「偽」の最たるものでしたし、日本の給油活動にも「偽」が混入していました。政治の世界はさておき、経済界にしぼって感想を述べたいと思います。

職業倫理の低下、企業の社会的責任の欠如が基本にあることは言うまでもありません。が、どうしてそうなったのか問う必要があります。解明を要しますが別の機会に譲ります。

株価資本主義の下、目先の利益、短期の業績にとらわれ過ぎ、物ごとを中長期の視点で考えなくなっているよう見受けられます。“後は野となれ山となれ”とまでは言いませんが世の中全般に、後のことに思いをめぐらさなくなっています。
長期的尺度による育てる投資でなく、ひたすら儲けをねらう投機マネーが跳梁して経済に害を与えていますが規制されていません。実体経済よりマネー経済が幅をきかせています。こうした風潮が影響していないでしょうか。

銀行の企業にたいする評価をはじめ、一般に評価、査定が皮相な「数値基準」で機械的に行われています。経営者の志や人間的資質、社内の信頼関係など加味されません。実態を正当に反映しないので「基準」に重みがなくなっています。

偽装、不祥事発覚の多くは内部告発によっています。告発自体は正義であり責められるべきではありません。問題は、悪事が内部で正されない企業風土にあります。また、理不尽な「リストラ」も関係します。人間を大事にしない経営への戒めです。

消費者の側にも誘因がありますがここでは割愛します。