会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
1998年01月発行 第44号 DDKだより
年金相談:失業給付と老齢厚生年金の併給調整
Q. 雇用保険の失業給付を受けると、年金がもらえなくなると聞きました。私は今年8月に60歳を迎え定年となりますが、年金はもらうことはできないのでしょうか。--------------------------------------------------------------------------------
今月の相談員
社会保険労務士 栗原 淑江
A. 平成6年の年金改革により、特別支給の老齢厚生年金(60歳~65歳未満)と雇用保険の失業給付との併給が調整されることになりました。①併給すると、就業した場合の賃金より高くなり高齢者の就業意欲を阻害する、②本来引退した人に対する所得保障である年金と、就労する意思と能力のある人への所得保障である失業給付との併給には合理性がない、というのがその理由です。
(1)調整の対象となる方
65歳未満の特別支給の老齢厚生年金の受給権者。ただし、平成10年4月1日以降に受給権の発生する方(男性の場合は、昭和13年4月2日以降生まれの方)に限ります。つまり、すでに老齢厚生年金を受給している方や、3月31日までに60歳に達し、受給資格期間を満たしていれば、従来どおり年金も失業給付ももらえるわけです。
したがって残念ですが、あなたの場合は、失業給付を受ける間は年金が支給停止されてしまうことになります。
(2)具体的な調整の仕方
60歳で年金の受給権発生と同時に定年退職された場合は、求職の申込みを行った日の翌月から、失業給付の受給期間が満了するまでの間、特別支給の老齢厚生年金が支給停止されます。
社会保険事務所で年金の裁定請求をするときに、裁定請求書に雇用保険の被保険者番号を記入し、被保険者証(写)を添付することになります。職安で求職の申込みを先にした場合は、年金の裁定請求をするときに、裁定請求書とともに、雇用保険受給資格者証(写)を添えて「厚生年金保険老齢年金受給権者支給停止事由該当届」を提出します。
(3)停年後も在職する場合
停年後、何らかの形で在職し厚生年金の被保険者となる場合は、標準報酬の月額により、年金の全部または一部が支給停止となります。一定の条件のもとで、雇用保険の「高年齢雇用継続給付」を受ける場合、その期間について年金は通常の在職老齢年金の支給停止を行ったうえに、原則として、標準報酬月額の1割に相当する額を支給停止されます。
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