会報誌(DDKだより)

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2009年01月発行 第176号 DDKだより

巻頭言:『改革なくして、成長なし』のつけ

河原 八洋

あけましておめでとうございます。
皆様にはよいお年をお迎えの事とお喜び申し上げます。
とは申しても、なかなか祝賀の気持ちにはなれないのが、今年の状況ではないかと思います。
特に先行きを暗くしているのは、失業者の増大と仕事量の減少です。
リーマンブラザーズの崩壊があったのは昨年9月、たった3ヶ月の間に失業者が街に溢れ、新卒学生の内定取り消しが横行している。このようにジャストインタイムの看板方式で、大手企業がすばやく対応できたのは、労働者派遣法「改革」の成果かもしれない。
バブル経済崩壊後日本は『国際競争力強化』を旗印に、アメリカ型競争社会を追い求め、規制緩和と改革を進めてきた。その結果M&Aや合併・民営化で巨大な企業がたくさん生まれた。大きさと、強さと生産性で経営の安定度が増したように見えた。しかしリーマンは野村證券の何倍もの事業規模だったし、まず最初に救済を求めたのは米国のビック3だったことからしても、大きい事は競争力と経営安定に何ら関係ないことがよく解った。
『国際競争力』は輸出産業には必要だとは思うが、日本は外需に頼りすぎてはいないか、売り込む相手国に迷惑をかけてはいないか、よく考えてみる必要がある。企業は大きくなればなるほど人間性が失われる。勝者と敗者を生む過度の競争には理念や社会的貢献などは優先順位の下位に位置する。
私はこれから日本の進むべき道は、健全な中小企業を育成し、内需を増やす事により多様性や独創性を持った企業群を創り、それが雑草の様な強さで地域に根づき、人間性溢れる安定した社会を築いていく、すなわち中小企業を基盤にした『中小企業立国』を目指すべきだと思う。
中曽根元首相をして『モラルなき拝金主義』といわせた市場原理主義の破綻が明らかになった今、本来持っている企業の社会的役割と、国民が幸せに暮らしていく事を保障する国家の進むべき方向について考え直す必要があると思う。