会報誌(DDKだより)

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2009年03月発行 第178号 DDKだより

金融・経営相談:拡充された「日本公庫」のセーフティーネット貸付とは?

Q.国と区の緊急保証を含め信用保証制度を目一杯利用しています。今後の資金調達について取引のある大手銀行に相談した処、銀行の資金が不足しているので追加融資どころか既存の短期借入金も返済を求められています。
 金融不安が広がる今、政府系金融機関「日本政策金融公庫」のセーフティーネット貸付の条件が拡大されたと聞きましたが、どのような融資なのでしょうか。当社も融資対象となるのでしょうか。


今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝

A.大手銀行は大企業への融資優先で、その影響から中小企業に資金が回りにくくなっており、融資拒絶乃至貸し剥がしにあっている話はよく耳にします。現に、金融庁への苦情申立・相談(*①)も急増、それを補完・救済する公的金融機関への期待の声が高まっています。
セーフティネット貸付は以前より、長期・固定の安定資金(①経営環境変化対応資金、②金融環境変化対応資金、③取引企業倒産対応資金の三種)として旧中小公庫、旧国民公庫、商工中金で取り扱われていました。
昨年の10月株式会社化(*②)した「㈱日本政策金融公庫」(略称:日本公庫)は、国際的な金融不安及び景況悪化等の影響を受けて資金繰りが悪化している中小企業に対し、セーフティーネット貸付の拡充策を発表。民間銀行の貸し渋りや貸し剥がしの増加影響もあって当公庫への借入申込みが増えているようです。
今般拡充された「日本公庫」のセーフティーネット貸付の内、貴社に該当すると思われる「金融環境変化対応資金」の概要は次の通りです。民間銀行に対する補完公的金融を、貴社も申込みされたらどうでしょうか。
◇融資対象企業:国際的な金融不安や経済環境の変化を背景に、取引金融機関から借入残高の減少等の要請又は取扱をうけている(「貸し剥がし」の意)企業
◇資金使途:設備資金及び長期運転資金
◇融資条件:①融資限度:「国民生活事業(小規模企業向け融資)」4千万円。「中小企業事業(中小・中堅企業向け融資)」3億円 ②融資利率:基準利率以下 ③担保、保証人:原則必要(弾力対応有) ④融資期間 設備15年以内(うち据置き3年以内)、運転8年以内(据置き、同左)
◇その他、本融資利用メリットとして、①既存の公庫借入残がある場合、新規借入分と合わせて一本化し、資金繰りの円滑化に対応できること、②担保の全部又は一部を不要とする制度の利用も可能、③5年経過ごとの金利見直し制度を選択できます。
*①金融庁への相談件数(平成20年10月~12月)当庁のホームページから。
◆貸し渋り・貸し剥がし 205件(前年同期:32件)
◆金融円滑化ホットライン 213件(開設は20年4月30日)
*②平成20年10月、旧国民公庫・旧中小公庫など4つの政府系金融機関を統合、政府が100%株を所有した公的な特殊株式会社に。旧中小公庫が扱っていた一般貸付は廃止となり、政策目的だけの特別融資に限定された。