会報誌(DDKだより)

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2009年08月発行 第183号 DDKだより

巻頭言:不況下における補助金について考える



富塚 孝

中小建設業と工務店業界の景況は今年に入ってから次第に悪くなっています。ある生協の7月の指定工務店会の話し合いで、いままではどの工務店も仕事を抱えて、忙しいような顔をしていただけだったということがわかりました。実際、ある工務店は受注が60%強減、別の工務店は半分とも言いました。お互い、今後の見通しはどうなるのかわからないと不安です。そんな折、新築住宅の着工数が年率換算で70万戸(前年30.8%減)と発表されました。
ミサワホームや住友林業など大手ハウスメーカーは新築部門の営業マンを一部リフォーム部門に配置換えしたと言われています。国交省が景気対策として長期優良住宅リフォームモデル事業補助金に予算をつけたからです。国交省の関連機関でその説明を聞きましたが、補助金は工事費の10%で上限が200万円です。条件として①耐震性能がランク1以上にすること、②すべての居室の窓は断熱サッシまたはインナーサッシとしガラスは複層ガラスとすること、③エコキュートなど高効率給湯器を使うこと、④お風呂はユニットバスとすること、⑤高齢化に供えて手摺をつけること、⑥床の段差をなくしバリアフリーとすること、⑦次世代断熱性能を満足する断熱とすること、これらが補助の条件なのです。これを充たすリフォームとは、屋根だけ残したフルリフォーム(柱と梁など骨組みを残す)と骨組みと外壁を残す内部フルリフォームです。
長期優良住宅に金を注ごうという政策です。現実にこのようなリフォームに1,500万円も2,000万円も出せる庶民はいるのだろうかと考え込んでしまいました。それだけ出せる人は補助金など貰わなくても、独力でリフォームできる人でしょう。ということはそういうお金持ちに出す補助金ではないのかと疑いたくなります。補助金で景気刺激をという発想の国のやり方は何か変だと思います。
本当に困った人への有効な補助金を考えて欲しいと思う。