会報誌(DDKだより)

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2009年10月発行 第185号 DDKだより

巻頭言:あえて新政権に期待する


河原 八洋

流血暴動もなく、歓喜に満ち溢れるわけでもなく、きわめて静かに54年の自民党一元支配を打ち破る、日本の民主主義ルールによる革命が起きた。選挙戦最終日(8月29日)の池袋西口での演説を聞いていても、それほどの熱気は感じられなかったが、日が経つにつれ、何かわくわくするものを感ずる。
この新政権に一番期待することは、今日の閉塞感を打ち破る発想の転換である。指導する鳩山総理と管直人副総理が自然科学出身である点を注目したい。今まで日本の指導者は文系、特に法学部出身者が多かった事が、憲法などにゆがんだ条文解釈がまかり通り、国民はごまかされている、と感じていた。
これが、官僚言葉にならず、YES,NOが分かり易くなるのではないか。
成長戦略が無いと批判されている点について一言。成長は心いい言葉である。しかしここでいう成長とはGDPの伸びである。GDPを伸ばす事は、競争に打ち勝ち製品を売る事である。特に輸出立国の我が国では、他国の企業と競争して、市場を占有していくと言う事である。これには限度と限界がある。かっての植民地政策がそうであった様に、戦後途上国の負担の上に、富を築いてきた先進国は、その限度と限界に気付き『成長至上主義』を捨てるときが来ているのではないだろうか。
地球上の地理的不平等と経済の不均等発展を考えるとき、ブータン国王の言われるように、GDPの数値を競うのではなく、国民の幸せ度を競ってはどうだろうか。すなわち、貧困率の低下や失業率、年間自殺者数の減少、といった数値をGDPに変えて目標にすることを望む。この種の批判には、経済の量的成長ではなく、質的成熟が人を幸せにする共生社会である事を打ち出すべきだ。
新政権に期待する人は70%いるが、マニフェストに書かれた政策を支持する人は30%しかいない。国民は変化を選択したのであって、細かな政策を支持したのではない。
当組合の事業も、新政権が掲げる、高速道路無料化で重大な影響をうけることに成る。すぐには実現しないと思うが、これを補完する新たな分野を開拓していかなければならない。組合員の皆様方の更なる、知恵とご協力をお願いしたい。