会報誌(DDKだより)

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2009年10月発行 第185号 DDKだより

人事労務相談:新型インフルエンザ濃厚接触者を休ませた場合の賃金は?

Q.社員の子どものクラスで新型インフルエンザが発生し、学級閉鎖になっているようです。拡大感染を防ぐために本人に休んでもらいたいと思っています。出社を禁止した場合、休業手当を支払うべきでしょうか。

今月の相談員
特定社会保険労務士 服部 雅恵

A.今回の新型インフルエンザはSARSと違い弱毒性とされています。そのため新型インフルエンザにかかった場合およびその患者の濃厚接触者は、感染症予防法では就労を禁止されていません。
また労働安全衛生法上も就労禁止には該当しません。
労働安全衛生施行規則61条では事業者は、「病毒伝ぱのおそれのある伝染病の疾病にかかった者」や「前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかった者」について、その就業を禁止しなければならない、と定めています。前者は伝染させるおそれが著しいと認められる結核等、後者については現在定めがない状態です。
平成21年5月22日に出された「新型インフルエンザ対策基本的対処方針」にも就労禁止は記述されず、あくまでも事業者に対して時差通勤等の感染機会を減らすための工夫を要請しているに過ぎません。したがって、質問の場合は、国や自治体、保健所等による公的な就労禁止には該当しません。そのためインフルエンザを理由に感染者及び濃厚接触者に会社として出社を禁止させる場合は会社側の都合で就労禁止措置をとったことになります。この場合は、労働基準法では平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があります。もちろん本人から有給申請があった場合は業務に支障をきたさない限り認め、通常の賃金を支払いましょう。
今後、新型インフルエンザ感染拡大が懸念されるところです。現段階では会社として、手洗い・うがい、消毒、マスク着用を呼びかける等、拡大感染を防ぐ策を事前に講じておくことも大切です。