会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2010年02月発行 第189号 DDKだより
金融・経営相談:借り入れを2度も断られた!
Q.旧国民公庫(現日本政策公庫)から借りた1,000万円が200万円まで減っています。半年前、借り入れの継続を相談したが、もうしばらく実績を観る必要がある、といって断られました。去年の暮れ、また申し込んだが、「総合的判断の結果融資できない」と再び断られてしまった。どうすれば継続して借り入れできるでしょうか。
今月の相談員
田口 良一
A.
1.融資謝絶とは
申込みのとき提出した事業計画が信用できないと判定されたことになります。この判定内容はプライバシイですが、公平・公正な判定であることを説明する責任が金融機関には課されています。いわゆる「モラトリアム法」が成立してからは、金融庁は説明責任のチェックを強めています。
しかし、事業計画が達成できるかどうかを判別する銀行員の力量(目利き力、鑑定力)が劣化していたらどうなるでしょうか。過去の業績(決算)だけに寄りかかった審査になってしまうのです。これはロボットでもできる作業です。
特に公庫は事業実績がない新規事業でも、将来計画を信用(審査)して融資する銀行です。売上げ減少、収支赤字、利益や資産にくらべて借金が多すぎる、など過去の問題点(改革が不可能)を数えあげるだけで謝絶することは今日では通用しません。公庫自身が中小企業のイノベーション、出直し的改革、新創業などを叫んでいます。
2.謝絶から本格的な相談・交渉が始まる
ですから、銀行に断わられてから申込交渉が本格的に始まるのです。まず、直接出向いて否決理由を聞いてください。抗議することが主眼ではありません。指摘された問題点について、どの程度改善の目途(計画)がたてられれば再検討の扉が開くか、を見きわめるために出向くのです。
そして、第2に、指摘された点をメモにして読みあげ確認します。ここまでは銀行は必ず応じなければなりません。そして最後にこのメモに署名を求めてください。
以上の相談・交渉は、銀行と本人が緊張しながらも協力して改善計画を練りあげる過程なのです。そしてこれは、銀行にとっても損な話合いではありません。銀行の融資をふやし、銀行のリレ・バン機能を強化し、職員の目利き能力・助言能力の向上になるからです。
こうして練り上げた新しい事業計画をつけて再申込みをするのです。銀行と国民の力関係はここまで変ったのです。