会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
1998年05月発行 第47号 DDKだより
巻頭言:地に足をつけた健全経営を
相談役 河野 先(株)第一経理 会長
全国中小企業家同友会全国協議会幹事長
今年度は〝平成大不況下の不況〟の様相を呈している。
昨年の消費税税率引き上げなど9兆円にも及ぶ国民負担増に加え、考えてもいなかった銀行、大企業の倒産が現実になり、生活と雇用の不安で気分は萎縮しがちです。
早期是正措置に向けた銀行の貸し渋りは政府の掛け声に関係なく依然とどまることがありません。厳しい選別回収が続き、企業の維持存続にとって、2兆円減税も効果はありません。
4月以降の外為法の改正、7月以降の生保損保業界の変化、大店法などと規制緩和の流れと、アジア・アメリカ経済の不安要因もあり、日本経済の閉塞状況は続かざるを得ません。
まさに苦渋の時代ですが、国民と地域を支えてきた中小企業として、これからの時代をどう臨むかが問われています。
21世紀は明治維新、第二次世界大戦後と3度目の大変革期ですが、世界的な視点で日本経済の民主的な再生を考える上で、真の中小企業の役割が大変重要になってくると思います。
戦後50年の間に培ってきた技術、ノウハウ、サービスなどを改めて見直し、自社の存在意義と社会性を自覚し、健全な市民社会を展望した共生、共同、ネットワークを地道に構築することでしょう。
量的には充足され、質と個への追求、と需要は変化していきますし、時代の変化で必要とされていると思っていた常識も変わってきています。特にこれからは、地域にあてにされる生活者の視点が大切になってきます。
経済構造が変化して社会生活でも様々な変化が起きているのですから、その変化の本質を見抜き、科学的な経営戦略の確立が重要です。
確かに大変厳しい時代ですが考えようによってはやり甲斐のある時代で、まさに時代との闘いだと心得て、協同組合を種々な面で活用し、お互いに助け合い、困難を切りひらき乗り越えようではありませんか。