会報誌(DDKだより)

DDK Newsletter

2010年09月発行 第196号 DDKだより

金融・経営相談:「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」による危機管理

Q.国の関与する「取引先の倒産に備える倒産防止共済制度」があると聞きましたが、その概要を教えてください。制度改正により条件が拡充され、一層危機管理に役立つといわれていますが、加入のメリットも教えてください。


今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝

A.おたずねの共済制度は、万が一取引先事業者が倒産し、売掛金債権等が回収困難になった場合に、共済金の貸付が受けられる共済制度として、 国が全額出資している独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。
 本制度は、中小企業倒産防止共済制度(愛称:経営セーフティ共済)として定着し、全国で約30万社の中小企業が加入し、貸付累計額は約1兆8千億円にのぼります。
 貸付を受ける企業は、財務状況や返済可能性などの金融審査でなく、取引先の倒産と取引先に対する回収不能債権額の事実確認だけで掛金の10倍まで借りられるという特色があります。

《加入資格と加入条件》
(1)加入資格は、1年以上事業を行っている中小企業者。
(2)掛金月額は、5千円~8万円の範囲で自由に選択でき、加入後、増・減額が可能。
(3)掛金限度額は320万円。掛金は税法上損金参入のメリットがあります。
《共済金の貸付条件》
(1)貸付が受けられる時期は、本制度に加入後6ヶ月以上経過し、取引先事業者が倒産して売掛金債権等が回収困難となった時(①取引先が破産等の法的整理の開始申立がなされた場合。②取引先が金融機関で取引停止処分を受けた場合。③私的整理の一部)となります。
(2)貸付が受けられる金額は、「回収困難となった売掛金債権等の額」と「掛金総額の10倍に相当する額(最高3,200万円)のいずれか少ない額です。
(3)その他の条件として、①この貸付は「無担保・無保証人」「無利子」です。但し、共済金の貸付を受けると貸付額の10分の1に相当する額が、掛金総額から控除されます。②償還期間は5年(据え置き期間6ヶ月を含む)で、毎月均等償還となります。
 なお、平成23年10月までには、「貸付限度額の引き上げ」「掛金の積立額の引き上げ」などの条件の拡充(*)が予定されており、加入によって万が一の備えが厚くなります。
 加入手続きなど詳細は、協同組合DDKにご照会ください。
(*)
平成23年10月までに改定される予定の主なもの
1)共済金の貸付限度額の引き上げ
 現在3,200万円⇒8,000万円(予定)
2)掛金の積立限度額の引き上げ
   320万円⇒800万円(予定)
3)掛金月額の引き上げ
   8万円⇒20万円(予定)
4)償還期間を貸付額に応じて延長
    5年⇒10年