会報誌(DDKだより)

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2010年10月発行 第197号 DDKだより

年金相談:「定年時同日得喪」の取扱いが拡大されました

Q.定年のない会社に勤めていますが、昨今経営状況も芳しくないことから、「年金が支給されるはずだから、給料をもっと下げたい」といわれました。しかし、現在年金は全額支給停止されており、給料を下げても、社会保険の随時改定(月額変更)に該当するまでは、年金は支給されないと聞いているのですが・・・。


今月の相談員
特定社会保険労務士 服部 雅恵

A.在職している60~64歳の厚生年金の被保険者が年金を受給できるようになると、給料と賞与(前1年間に支払われた賞与額の1/12)によって決められる総報酬月額相当額と1か月当たりの年金額の合計収入に応じて、年金が支給停止、一部停止されて支給されます。
 従来、定年により退職して継続再雇用された場合(※)に限り、再雇用された月から新しい標準報酬月額を決定していました。資格喪失届と資格取得届を同時に提出することから、これを「定年時同日得喪」と呼んでいます。
 ただ、就業規則等に定められた定年の日以外で退職し継続雇用されたり、ご質問者のように定年制のない会社において、給与を大幅に下げて再雇用されても、この取り扱いは適用されないという問題がありました。この場合、通常の随時改定(月額変更)の手続きによるため、再雇用された月から4ヶ月経たないと標準報酬月額は改定されません。また、何らかの事情で随時改定に該当しないと、給与は下がっても標準報酬月額は従前のままなので保険料は高く徴収され、また年金もストップということもあり得ました。
 今回、改正された点は、定められた定年の日以外に再雇用された場合や定年のない事業所でも、この定年時同日得喪の取り扱いができるようになったことです。
 新たに対象となるのは60~64歳までの年金を受け取る権利のある次の方です。
・ 定年制のある会社で、定められた定年日以外で退職後、継続再雇用された場合
・ 定年制のない会社で退職後継続再雇用された場合

 再雇用する際は、必ず再雇用契約書等を交わし、資格喪失届と資格取得届を年金事務所もしくは健保組合・基金に提出する際、添付する必要があります。この手続きをすることによって、再雇用された月から再雇用後の給与に応じて標準報酬月額が決定されますので、年金の支給停止額も再計算されることになります。

(※)1日も空くことなく同じ会社に再雇用されること