会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2010年11月発行 第198号 DDKだより
金融・経営相談:銀行による「貸しはがし」への対処法
Q. 金融円滑化法による長期借入金の元金返済猶予に協力してもらっているメガバンク(10数年の取引歴)から、運転資金(手形貸付による継続反復融資)の期日返済後の反復融資中止を宣告されました。一時的に資金繰りに余裕が出てきたため返済を強く求めてきたようです。経営改善に向けた資金がこれから必要となってくるのに強制的回収は無理無体です。
当社に対し、銀行の支店の担当者は十分な説明もなく、当行の都合という理由だけで、そっけない態度です。
納得できませんので、ここに至っては、金融庁に申し立てしてでも、銀行の強硬回収をストップさせねばと思い悩んでいます。
金融庁への申し立ても視野に入れた対処方法を教えてください。
今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝
A.銀行は今、中小企業金融円滑化法による支援について、条件変更に(渋々)応じながら、一方で大銀行は自己資本比率向上のために手間暇かかる業績の良くない中小企業からの資金回収に動いています。
10数年来の取引銀行からの唐突な宣告で、しかも貴社の場合、銀行がなぜ資金回収をするのか納得のいく説明がありませんし、資金繰りを理解したうえでの協議もなく一方的な「貸しはがし(貸し渋り)」です。
金融庁の監督指針「金融円滑化チェックリスト」によると、銀行に対し「合理的な理由なく、融資を抑制したり、早期に回収を図ったりする不適切行為」を戒めていると同時に「債務者に対する経営改善への積極的取り組みを強化するよう」求めています。
したがって、理不尽な銀行の強引な回収を止め、正常な取引回復を図るため、以下の手順を参考に粘り強く交渉してください。
1.先ず、銀行の内部(上層部)に対する交渉を一層強めることです。
(1)現段階では、銀行の担当者ベースでの話し合いになっていますので、先ずは支店長へ上申をします。直接面談する(その場合は、顧問税理士さんに同道してもらい会話記録を取ること)か、上申(要請)書を支店長に直接手交するか送付する。
(2)それでも、納得がいく回答が得られない場合は、融資本部長、又は頭取(又は社長)宛上申書を送付する。
なお、支店長面談や文書による上申(要請)に際しては、特に次の点を主張しましょう。
①今回の「反復融資中止」に対する納得できる具体的理由の開示を求める。
②金融円滑化法に基づく元金返済猶予と経営改善の支援中の会社への経常資金供給の中止は同法の趣旨・運用から見て異常である。
③銀行と正常的取引の合意が得られない場合は、指導監督機関への申し立ても辞さないことを明言(明記)しておきましょう。
2.銀行との話し合いが進まない場合は、いよいよ最後の手段でもある「金融庁」等の指導監督機関への申し立てとなるが、その際は当方へご相談ください。