会報誌(DDKだより)

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2011年04月発行 第203号 DDKだより

巻頭言:人も企業もその命を絶やすな、限りない支援を続けよう



石田 仁

それはあまりにも急激にやってきた。外回りの帰り、会社前の横断歩道で信号待ちをしていた。咄嗟にしがみついた信号機は倒れんばかりに揺れ、2階屋からは金属片がいくつも落下。付近の高層ビルはぐらぐらぐらと曲がり、今にも折れそうな様子。歩行者は戸惑い、荷物を抱えたおばちゃんがしゃがみ込んだ。車はうねる道路を避け、端っこに停止した。私の東日本大震災の瞬間である。死者、行方不明で2万2千名を超えた(3月23日)。ご冥福をお祈りします。 
私たち東京近郊では、計画停電が取り入れられ余震と放射能汚染の脅威におののきながらもある程度の日常を回復しつつある。
他方、被災地では未だ、生命を繋ぐ食料や燃料の救援物資が充分でないと言う。凍てつく寒さの中、1日1人おにぎり2個とか2人で毛布1枚の報道が乱れ飛んだ。今一層、私たちは其々の立場で、でき得る限りの支援を送ろう。
被災地は人や住居だけでなく、工場も倉庫もお店もみんな流され、会社の売上は無くなり、社員に給与も支払えない深刻な状態である。今後は一刻も早く仮設住宅の建設とともに、被災地企業の復旧を助け再建の資金繰り支援が必要になる。国や自治体には是非とも3月末に切れる緊急保証制度を継続し、別立てに融資の途をつけてもらいたい。
父が子を救い、孫が祖母を助ける。避難所の高校生が懸命に水汲みや介護。老人施設や病院等で働く医師、看護師、職員の皆様。献身的な自衛隊員。悲しみをこらえながらも必死に生きている2週間。被災地、中学の卒業式で「ふるさと」の合唱が厳かに流れた。美しいふるさとこそ唯一の源流。「原発のあり方は、根本から問い直されなくてはなるまい。だが今はただ、命がけの任務に挑む人たちの成功と無事を祈る」(3月18日 日経)こととしよう。
私たち被災をまぬがれた者にとっては、被災地への限りない支援を忘れることなく、復旧から復興へ、日常的な経済活動を回復することが全体的な経済効果を生むと確信し、がんばろうと思う。