会報誌(DDKだより)

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2011年12月発行 第211号 DDKだより

人事・労務相談:休日出勤の「時間外」は割増率が加重されるか

Q. 当社は、物流を中心にした業務を行っていますが、納期の関係から休日出勤でも時間外労働をさせる場合があります。割増率はどのように考えればよいのでしょうか。

今月の相談員
経営コンサルタント
社会保険労務士 石田 仁

A.社員さんはとても大きな使命感で休日をつぶし、なおかつ時間外労働にも応じてくれています。できれば、会社としてもある程度のコストは予定せざるを得ません。ただ、他方で割増率が加重されないことも期待しています。 
労働基準法は1週1日もしくは4週に4日の法定休日に出勤させた場合に限って、休日割増率が3割5分以上と謳っています。そもそもこの法定休日というのは土日が所定の休日ならば、土曜なのか日曜なのか判別できないのですが、争いを避けるために、通達はどちらかに特定した方が望ましいとしています。定めてなければ、どちらか一方の休日出勤なら、週1日の休日は確保されたことになりますから、3割5分の割増率の適用は必要ありません。この法定休日出勤以外の休日出勤には1週40時間を超えるかどうかで通常の割増率2割5分の適用となります。現実には、3割5分の割増率が適用される場面は少ないのです。
ところで、ご質問は法定休日のことには触れていませんが、休日出勤そのものは、もともとイレギュラーですから、休日に所定時間を超える時間外労働という概念は無いと考えられています。ですから、法定休日出勤の3割5分増しが適用される場面の「時間外」であっても、そのまま加重されず、3割5分増しのままでかまいません。通達も「協定において休日の労働時間を8時間と定めた場合,割増賃金については8時間を超えても深夜業に該当しない限り3割5分増しで差支えない」としています(平成11.3.31基発168号他)。同様に法定外休日の場合も2割5分増しのままで加重する必要はありません。ただし、深夜割増手当は肉体の摩滅に対する代償としての割増ですから、いずれの場合も加重されますので注意が必要です(労基法第37条3項)。
ご質問の場合、法的には割増率を加重する必要はありませんが、気分、感情の問題としては例外中の例外として、会社としては何等かの特別な割増あるいは手当を工夫された方が社員のモラールは向上します。