会報誌(DDKだより)

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2012年02月発行 第213号 DDKだより

金融・経営相談:平成23年度税制改正のポイント-法人税関係は平成24年4月1日から適用-

Q. 平成23年度の税制改正は結局どこまで決まったのか、決まったものは何時から適用になるのかよくわかりません。中小企業に直接関係するところを教えてください。

今月の相談員
税理士 平石 共子


A. 年度税制改正は期限切れとなる法律があるので3月末までに成立するのが通例です。ところが、23年度税制改正は3月11日の大震災、衆参ねじれ国会の下、まず3月末はいわゆるつなぎ法案で3ヶ月延長になりました。当初の改正案は法人税減税、所得税及び相続税増税、50年ぶりの大幅改正といわれた国税通則法改正で納税者権利憲章の制定や税務調査の手続き規定が新設されるなど多岐に渡るものでした。まず①一部6月22日成立、6月30日公布。次に、②法人税と国税通則法改正が11月30日成立、12月2日公布と2回にわたる改正となりました。結局、所得税と相続税の増税は見送られましたが、消えたわけではなく社会保障・税一体改革に組み込まれています。また、11月には法人税減税とセットで③復興財源確保法案が成立しています。
では、中小企業に直接関係しそうな改正のポイントを見ていくことにしましょう。
①【6月改正】
●消費税の仕入税額控除制度のいわゆる「95%ルール」の見直し(課税売上高5億円以下の事業者については今までどおり)
②【11月改正】
1)法人税
●法人税率の引下げ…24.4.1開始事業年度~、30%→25.5%
●中小法人等の年800万円以下の所得に対する軽減税率の引下げ…24.4.1~27.3.31開始事業年度、18%→15%
●中小法人等の欠損金の繰越控除の期間延長…7年→9年、20.4.1以後終了事業年度において生じた欠損金額から適用
2)国税通則法改正(納税者権利憲章の制定は削除に)
●更正の請求期間の延長(1年→5年)、増額更正期間の延長(3年→5年)…12.2から適用
●税務調査手続きの規定(事前通知、帳簿等の提示提出、帳簿等の留置き、修正申告の勧奨、終了通知など現行運用の取り扱いの法令明確化というが、課税庁の権限強化の規定が盛り込まれている)…25.1.1から適用
③【復興財源確保法】
●所得税額に対する付加税…25年間(25年1月~49年12月)、2.1%
 具体的には、課税所得195万円以下に対する税率5%の場合
5%×2.1%=0.105% 
∴5%+0.105%=5.105%
●法人税額に対する付加税…3年間(24.4.1~27.3.31開始事業年度)、10%
 具体的には、減税後の25.5%×10%=2.55% 
∴25.5%+2.55%=28.05%
※法人税率は、減税後に付加税を課すので、現行30%よりは減税になります。