会報誌(DDKだより)

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2012年08月発行 第219号 DDKだより

巻頭言:民意を託せる国会?



富塚 孝

消費税増税など税と社会保障一体改革法案の審議が参議院で始まった。民主党の消費税増税に反対する議員が離党し、小沢派は新党を作った。会期末の9月8日までに社会保障と税の一体改革関連法案を通したら解散かといわれている。自民党は8月上旬までに法案を通して解散に追い込み、9月9日投票を狙っているという。9月9日が大安吉日だからだそうだ。民主も自公民も消費税増税では「国民の生活が一番」といいつつ財政赤字の負担を子と孫の世代に残さないためだと一致する。三年前に「国民生活が第一」などをマニフェストに掲げた民主党政権を誕生させた人々は、失望どころか絶望に打ちひしがれていることだろう。
憲法前文には「日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(途中省略)、国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである」と書いてある。
財源が不足しているから消費税でまかない、財政赤字を縮小させるために社会保障予算を削り、年金支給額を減らすような制度にしようとしている。消費税はあげませんと言って当選したのだから、詐欺だといっても過言ではないだろう。国民が選んだ議員が選んだ人の意思と異なる行為をしても、院内の言動は院外でその責を問われないことになっている。選ばれたらこっちのものだという仕組みだ。しかも任期は衆院が4年、参院は6年だ。選び替えるには4年待つか、国会が不信任案を可決して総選挙にならなければそれもできない。選んだ私が馬鹿だったではすまないのだから、国会議員リコール制を考えるべきだろう。議員はリコールされたくないから自ら作ることはないだろうから国民が運動して作らせるしかない。
国会議員選挙の一票の格差は憲法違反だと指摘されてもいる。自らの議員の椅子を失うような改正には背を向け続ける。アメリカ連邦議会は上院議員の任期が6年、下院は2年だそうだ。日本のような解散制度はない。2年に一回の選挙で選ぶのなら日本よりも民意を託しやすい。わが国会も議員定数の削減だけを問題にするのではなく、議会制度のありかたそのものを議論すべきである。