会報誌(DDKだより)

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2012年08月発行 第219号 DDKだより

金融・経営相談:日弁連が国に提言している「保証制度の抜本的改正」とは

Q. 他人の借入の連帯保証人となったため、多額の弁済を求められています。最近、日弁連(日本弁護士連合会)が法務省に対し、「個人保証の禁止や新たな保証人保護規定を設けるなど」の、保証制度の抜本的改正(民法の改正)を求めていると聞きましたが、どのような内容でしょうか。またその背景は?


今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝


A. この問題は、今年1月、日弁連が法務省に対し「保証制度の抜本的改正を求める意見書」を提出したことから、各方面で注目がされはじめています。
 現在、法務省で論議が進められている民法(債権関係)の改正に関して、日弁連は「個人保証の禁止や新たな保証人保護規定」など以下の4条項を設けることを提案しています。
 第1は「個人保証の禁止」、第2は「保証契約締結時の債権者(銀行等)による保証人に対する説明義務、情報提供義務」、第3は「契約締結後の債権者による情報提供義務」、第4は「比例原則」です。
 以上のうち、第2と第3は保証人を保護する事項として近時、金融庁から銀行に対する指導監督指針となっているものですが、第1と第4については金融実務上では画期的なものです。
 若干説明を加えますと、第1の「個人保証人禁止条項(案)」では、『主債務者が事業者である保証に関する契約の際、保証人が当該事業者の業務を執行している場合(経営者保証)や個人の保証を付けることを特に法令が認めた場合』以外は、個人が保証人になることができないとしています。   
 第4の「比例原則条項(案)」では、債権者(銀行等)が保証契約締結時に、保証債務の内容が個人保証人の財産及び収入に対して著しく過大であった場合には、債権者は保証債務の履行を請求することが出来ないとしています。 又、保証制度の抜本的改正を求める背景として、①「個人の保証人が必ずしも想定していなかった多額の保証債務の履行を求められ、生活や事業の破綻に追い込まれる様な事例が後をたたない。なお一層の保証人保護の拡充を求める」という指摘が法制審議会内でも多数あること。②近時、信用保証協会は、経営者本人以外の第三者を保証人として求めることを原則禁止し、日本政策金融公庫、商工中金等公的金融機関も第三者保証人の非徴求割合が激増していることがあります。 
 これらが法制化されれば、このことを主張し続けてきた先達や関係者の悲願達成に大きく近づくこととなります。