会報誌(DDKだより)

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2012年12月発行 第223号 DDKだより

金融・経営相談:金融円滑化法終了への対応

Q. 当社は、金融円滑化法施行以来、毎年7月末日にすべての金融機関からリスケジュール(1年間元本返済据置)を受け、経営改善計画を提出した上、利払いのみを続けています。25年3月末日に金融円滑化法が終了すると言われていますが、次回のリスケジュールの期日(平成25年7月末日)はその直後にきます。当社はこの時までにどのように対応すればよいのでしょうか。


今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝


A.貴社が提出した経営改善計画に沿って、とにかく利益を上げ、利息のみならず元金の一部でも返済できる経営体質に改善することが急務です。
 円滑化法によりリスケジュールを受けている大概の会社は、そもそも赤字か、黒字でも負債が過大になっています。このような会社が事業を続けていくには、利益が返済の原資ですから、ともかく利益(純利益+減価償却費)を上げていくことに注力すべきです。
 中小企業は今、大変な業況にあり、経営実態をみれば来年3月末の期限を延長すべきとの声も多いのですが、政府は、いまのところ金融円滑化法の再度の延長はないとしています。
 一方、金融機関は、国の指導に基づき概ね以下3つの類型で債務者の分類を進めています。
(1) 自助努力により経営改善が見込まれる債務者
(2) 抜本的な事業再生、業種転換、事業承継などにより経営の改善が見込まれる債務者
(3) 事業の持続的可能性が見込まれない債務者(*)
 金融機関の対応は、(1)及び(2)については、外部専門家や外部機関等との連携により経営課題を解決するための方策を債務者に提案し前向きに支援します。(3)に分類されると、支援は消極的となりますが、事業継続に向けた経営者の意欲などを勘案した上で、支援の方向を判断します。
 金融機関が円滑化法終了後に期限猶予の再延長に応じるかについては、すでに提出された経営改善計画の遂行状況を評価して決定するのではないかと言われています。債務者が経営改善計画を相当程度クリアしていれば、金融機関は再延長には応ずると思われる。
 貴社の場合、現段階で金融機関からの助言等がないとすれば、早めに金融機関に対し、自社がどのような取り扱いになる見通しなのかを率直に聞くなど情報収集に努めることです。その際、顧問税理士など専門家の同行も心強いと思います。

(*)「事業の存続がいたずらに長引くことで、却って、経営者の生活再建や取引先の事業等に悪影響が見込まれる