会報誌(DDKだより)

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2013年03月発行 第226号 DDKだより

金融・経営相談:経営改善計画再作成時の留意点―金融円滑化法終了を目前にしてー

Q. 金融機関から借入金返済緩和の措置(経営改善計画提出済み)を受けていますが、業績改善せず、再度返済条件緩和の申し出をしたいと思っています。金融円滑化法の期限切れを控え、どのように交渉すればよいでしょうか。その際の経営改善計画再作成の留意点を教えて下さい。

今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝


A.金融機関は金融庁の指導指針により、「貸出金に対し優遇措置を設けた取引先」に関しては、特に厳格に評価する体制に変化しています。
 再度の返済条件緩和の申し出に対し、当初提出済みの「経営改善計画(*)」を分析し、練り直した改善(再建)計画書により、(1)返済の正常化は可能か、(2)債務者区分を「正常先」にできるかを検証し、諾否を判断します。
 検証の結果、計画実現が困難と判断されると、再建の見込みがなければ支援打ち切りもあり得えます。したがって、社長ご自身が「再建計画」に必要な対策を考えかつ、より具体的な計画を立案し、自信をもって説明できるよう準備し、積極的に交渉することです。
 金融機関が検証する際のポイントは、主に以下の項目が予想されますので、計画作りの参考にしてください。
(1)売上計画の検証
①販売先別、製品別の変動要因を分析し、当初計画比変動の要因を聴取。
②新製品開発や新規取引先開拓を計画に立てた場合、その開発・生産の進捗状況や商談の成立状況や可能性を聴取。
(2)販売費・一般管理費削減計画の検証
 削減の中心は人件費であり、人件費の削減には人員削減と1人当たり給与(賞与)の削減額、また職種別の観点として役員、一般社員、パート別削減額の検証。人員削減であれば、退職時期・人数、給与水準の引き下げでも同様削減額の妥当性をチェック。人件費以外にも削減額が大きい経費項目についても検証。
(3)売上総利益(粗利益)率の検証
①製品別平均単価の変動もしくは売上原価の変動要因を検証。特に、原材料費や商品の仕入れ値の変動計画については、その実現可能性をチェック。
②平均製品単価は、既存製品の売価変動要因、新製品の価格設定の妥当性を検証。
③利益率の設定は、明確な根拠があることを経営者から聴取。
(4)仕入れ・販売条件変更の検証
 買掛期間の短期化や売掛期間の長期化など条件悪化している場合、競争力低下による立場の弱さが要因なのかどうか検証。
(5)資金繰り計画の検証
 当期の全体の返済原資の見込みが立ったうえで、月ごとに資金不足が発生するところがないかを検証。
(*)「経営改善計画書」作成基本
 ①これからの経営方針
 ②自社をとりまく環境分析
 ③実現可能性のある抜本的な改
 善計画
  ④今後3~5年(最長10年) の
 収支計画