会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2013年07月発行 第230号 DDKだより
巻頭言:業界の変化を生き抜く
椎名 敬一
今般理事長に就任いたしました椎名敬一です。どうぞよろしくお願いいたします。
私どもは昭和37年、医療用ステンレス製・スチール製キャビネットメーカーとして創業しました。医療現場で使用するメスや鋏、ピンセット等を安全に管理するキャビネットの製造です。現在では、手術室のレイアウトや病院内の物流導線設計、感染管理の提案等もお手伝いさせて頂いております。今日まで医療分野のみに特化してまいりました。
創業時は高度経済成長期に当たり、福祉充実政策、生活インフラ整備の一環として各地に病院が整備され当社も順調に足場を固めてきました。その後1983年に厚生省保険局長であった吉村仁氏が『医療費亡国論』を発表。増え続ける医療費に警鐘を鳴らし、官僚主導による医療費抑制策が強力に推し進められるようになりました。?高齢化の進展?経済基調の変化?医療の進歩(高額化)等が主な理由です。その後医療業界は、氷河期に突入していきます。創業30年で先代の他界、バブル崩壊と矢継ぎ早に押寄せて来る大波。DDKの経営相談、金融相談に日参し、会社を解散する覚悟で社内改革を断行し、脇目を振る余裕などなく過ぎ去った日々を思い出します。そんな中でもISO9001だけは製造業の基本だと手放さなかったことが今の社員達の糧となっているようです。
医学会も変わってきました。今までの、医師個々人の経験による治療が無数に行われていた時代から、臨床試験結果等の証(evidence)に基づいて、その時代で最も良い結果の治療を学会等が「標準治療」として選定し、全国の医師が原則としてこれを用いるEBM:Evidence Based Medicine(根拠に基づいた医療)の時代へという流れが起きてきました。EBMでは科学的信頼度の高い順に [信頼度1:最も信頼される大規模な臨床試験結果]から[信頼度5:単なる専門家の個人的意見]の5段階に分類されます。
私どもは、EBD:Evidence Based Design(根拠に基づいた設計)の考えで製品設計・製造を行っています。ISO9001との両輪で製品精度を増し、次なる時代に突き進もうとしています。
混迷を極めた昨今。中小企業の経営環境はさらに厳しさを増すでしょう。DDKの真骨頂を発揮する時です。今後も応援の程宜しくお願いします。