会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2013年08月発行 第231号 DDKだより
金融・経営相談:信用保証協会保証付き借入金への対応―金融円滑化法終了。支援打ち切り?-
Q. 当社は、今年に入って信用保証協会保証付き借入金の元金返済が困難となってきました。金融円滑化法が終了し返済が出来ない状態が続くと、廃業・清算等を迫られるのでしょうか。銀行はどのような処置をとるのか、又、事業存続を望んでいる当社の対応策を教示ください。今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝
A.従来から銀行が行っている「保証協会保証付貸付金」の返済不能先への処置の一般的ステップは、次の通りです。
(1)銀行に対し説明もなく約定返済が履行されない期間が3カ月程度続き、(この間銀行から「催告書(返済督促)」が債務者及び連帯保証人に再三届く)銀行が支援打ち切りの判断をすると、債務者及び連帯保証人に対し「期限の利益喪失通知書(*1)」が内容証明郵便にて送付されてきます。
(2)その後も返済なく且つ返済見込みもないと銀行が判断した場合は、原則として期限の喪失通知日から90日間を経過後、銀行は信用保証協会に対し代位弁済(貸付先に代わって返済)請求し、履行されると新債権者は信用保証協会となります。
(3)新たに債権者となった信用保証協会は、債務者(含む、連帯保証人)と改めて返済に向けた協議となりますが、債務者の実情を勘案した長期的な返済にも応じていますし、事業存続も可能です。長期的返済となる場合は、基本的には保証協会回収?(*2)が返済窓口となります。
国がすすめる金融円滑化の出口戦略(*3)では、「自助努力により経営改善が見込まれる債務者」と「抜本的な事業再生、事業転換、事業承継などにより経営の改善が見込まれる債務者」に対しては手厚い支援策を用意しています。しかし、事業の存続が見込めないと判断された債務者には銀行の支援打ち切りなどの厳しい対応も予想されます。
貴社の場合、今まで順調だったのに円滑化法終了後に返済に支障が出てきましたのでタイミングは良くありませんが、約定返済不能に陥る前に速やかに銀行又は保証協会に対し、「事業存続と返済見通し」の経営改善案を示し返済猶予につき誠意をもって交渉してみましょう。仮に銀行が返済猶予に応じず、借入金が信用保証協会へ移ったとしても、事業存続の強い決意があれば、(銀行からの新たな借り入れは当分難しいですが)事業存続は可能です。
(*1)「期限の利益」とは、期限の到来までは債務の履行をしなくてもよい、という債務者の利益のこと。「期限の利益喪失」とは、債務者の期限の利益を失わせることによって、約定の返済期日到来前であっても、全額返済を求めることができる。
(*2)通称「保証協会サービサー」。信用保証協会の委託に基づき信用保証協会の債権の管理及び回収を行う債権回収会社。債権者はあくまでも信用保証協会。
(*3)軍事用語を経営用語に転用。経済的に損害が続く状況から、損害・被害を最小限にして撤退する戦略。