会報誌(DDKだより)

DDK Newsletter

2013年10月発行 第233号 DDKだより

年金相談:繰上げ請求の注意点は?

Q. 11月に60歳になる男性(S28年生まれ)です。再雇用制度は利用せず退職し、第2の人生を模索中です。しかし61歳まで年金をもらえないので、繰上げ受給を考えてます。
 繰上げ請求する際の注意点を教えてください。

今月の相談員
特定社会保険労務士 服部 雅恵

A.現在、年金は段階的に支給開始年齢が引き上げられています。ご質問者の年齢ですと、61歳から報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金が支給されます。
 繰上げ請求した場合、もらえる年金は前述した報酬比例部分の老齢厚生年金が繰り上がって支給されるのではありません。この部分は消滅し、65歳からもらえる本来の老齢厚生年金が減額されて支給されることになります。この場合、老齢基礎年金についても同時に請求することになり、同じく減額された老齢基礎年金額が終身支給されます。どちらか一方のみ繰上げ請求することはできません。
 また、繰上げ請求すると、その繰上げ請求した年齢が65歳とみなされるため、障害基礎年金や寡婦年金は受けられなくなりますので注意が必要です。
 ご質問者の場合は、61歳までのあいだに繰上げ請求(報酬比例部分の支給開始年齢までに)をし、繰上請求月から65歳になる月の前月までの支給率で計算されます。平成25年度の減額率は月0.5%です。つまり60歳の誕生月までに繰上げ請求した場合、本来もらえる年金額の70%(減額率:△0.5×12ヶ月×5年=30%)を終身受給することになります。一度請求したら、変更はできませんので、よく熟慮のうえ手続きされることをお勧めします。