会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2013年11月発行 第234号 DDKだより
人事労務相談:有期契約を会社の都合で打ち切ると
Q. 2年前に期間1年のパート契約を結んだ現在62才のB社員がおります。契約では更新しない場合の要件も規定していますが、ほぼ自動更新となっています。ところが最近、会社の方針で若返りが進められており、あと20日も経過すれば新しい社員が入社することになっています。Bには、若返りをはかる趣旨は伝えてありますが、契約を途中で打ち切るとまでは伝えていません。会社としてはBを雇い続ける余裕もありません。どのようにしたらよいでしょうか。今月の相談員
経営コンサルタント
社会保険労務士 石田 仁
A.こじれそうですが、Bさんに会社の方針をしっかりと伝え、誠実に話し合い、合意退職(引継ぎを加味した退職日を新たに決め、多少の慰労金を付加)にこぎつけることです。
それができなければ、法的には契約期間途中の契約解除は解雇となります(労働契約法第17条)。この場合、会社に「やむを得ない事由」がある場合についてのみ解雇できるのですが、会社に過失があれば、民法により残期間の給与相当額を支払うこともあります(民法628条、同法415条)。したがって、負担が重くならないよう、誠実に対応する必要があります。
解雇にあたっては、不意打ちや生活の困窮を防ぐための手続きとして30日前に予告するか30日分の給与を支払う必要があります(労基法第20条)。だからと言って、30日分支払えば何でもできるということではありません。
一般に解雇が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認めらないとき」は、権利の濫用として無効となるので、その際の判断基準である「正当な理由」があるかどうかです。判例では、契約期間中の解雇が認められる「やむを得ない事由」とほぼ同視されていますが、厳格に解釈されています。
もちろん個別具体的事情により異なります。ご質問では「組織の若返り」を正当な理由としたいようですが、それだけではとても肯定されるものではないことに留意して下さい。今回のケースは人件費の負担は覚悟しましょう。Bさんの希望を良く聞き入れ、双方納得できる退職日を決め、「若返り」方針を貫いて下さい。