会報誌(DDKだより)

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2013年12月発行 第235号 DDKだより

巻頭言:「少国民の昭和史」を読んで


亀井 賢伍


半世紀前、静岡の職場で一緒に働いたKさんが、今年6月「少国民の昭和史」と題する小冊子をつくりました。「満州」からの引揚者で私より4歳年下、ほぼ同時代を生きてきた友人です。「平頂山事件」の現場に近い撫順(*)で育った体験が重く尾をひいています。
本書の特徴は、筆者自身が述べているように、「『自分史』ではなく、主役は幼年期と重なる『昭和史』」と位置付けていることです。「自分」は後景におしやり、自分にまつわる出来事を20冊に及ぶ文献・資料を参考にしながら、客観的に叙述しています。たしかに所謂「自分史」とは違います。けれども、「満州事変」から太平洋戦争にいたる戦争の時代に少年期を過ごしたものの記録として貴重です。
地元の、年金者組合の会報に連載したものを読者の要望にこたえ、加筆・訂正しまとめたものです。
 
戦時下「外地」での日本人の振舞い、満蒙開拓青少年義勇軍の悲劇、関東軍の実像、「ソ連」軍の狼藉等よく知られていることでも、自身の体験、身近の見聞だけに、真に迫ります。
1991年、撫順の小学校時代の同窓生とその家族が連れだって、撫順、平頂山村を再訪した心情も肯けます。
戦前回帰ともみられる昨今の風潮に危機感を覚え、若い人に読んでほしい一念で書きあげたものです。
末尾はこう結ばれています。「戦前・戦中の激動の『昭和』を、幼かったとはいえ体験してきた私たち世代にとって、後の世代に戦争のない平和な未来を残すことが、最後の責務であると切に思うのです」

*東洋一の露天掘り炭鉱で有名。李香蘭も一時期、撫順女学校に在籍。