会報誌(DDKだより)

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2014年03月発行 第238号 DDKだより

人事労務相談:アルバイトの契約更新による年休付与はどうなるのか

Q.当社では、週4日アルバイトの勤務時間を仕事の増減により、契約更新時に改定しています。更新にあたり、5時間勤務のアルバイトは、7時間勤務にしてもらいました。年休の付与日は入社日基準で計算しています。この場合、年次有給休暇(年休)を1日取得した場合には、何時間分を支払えばいいでしょうか。

今月の相談員
経営コンサルタント
社会保険労務士 石田 仁

A.整理しなければいけないことがあります。1つは勤務時間変更による年休付与日数はどのように考えるべきか。もう1つは時給で契約するアルバイトやパートさんの年休の価格をどのように決めるかです。
 前者について、契約年度途中の勤務時間の変更については、そもそも休暇そのものが付与日(労基法では、入社から6ケ月経過、その後は1年経過ごと。ただし、その間8割以上の出勤日があること)で発生しますから、年休の日数には変更がありません。
 変更は、契約更新後の最初の付与日あるいは契約更新時に付与されるときです。この場合は、付与日以降の有効な契約上の所定勤務日数 (勤務時間の変更であれば1日についての所定勤務時間)と行政解釈では考えられています。年休は、付与日に発生し、付与日以降において予定されている所定労働日数(日数に変更なければ勤務時間)に応じた日数を付与すべきものだからです。従って、貴社の場合、所定労働日数に変更はありませんから、更新後の7時間分に対応した年休が発生することになります。
  もう1つ、1日分の年休の価格をどう決定するかの問題です。法は?平均賃金、?所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、?労使の協定があれば健康保険による標準報酬日額相当のいずれかを就業規則等により定めるよう規定しています(労基法第39条5項、6項)。貴社では従来からの慣行あるいは労働契約等で?を採用していますので、ご質問のように所定労働時間が1日7時間、時給が1,000円であれば1日7,000円が通常の賃金となります。アルバイトさんが1日年休を取得すれば、会社は7,000円支払うことになります。
  このように、契約更新により勤務日数や勤務時間に変更のあるアルバイトが年休を取得する場合には注意が必要です。