会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2014年06月発行 第241号 DDKだより
人事労務相談:定年後の継続雇用で更新を繰り返し5年超でも無期転換がない?
Q.当社は60歳定年です。定年後は、希望すれば1年単位の有期契約で、65歳まで働ける再雇用制度を採用しています。特に、雇用条件を制限しておりません。ところで昨年の4月1日以降は、有期契約でも5年経過し、6年目に無期転換の意思表示をすれば、無期契約に転換すると聞きました。そうなると65歳で雇止めすることが難しくなるのでしょうか。今月の相談員
経営コンサルタント
社会保険労務士 石田 仁
A. 確かに、このまま推移すれば、労働契約法第18条の施行から5年経過の平成30年度中には、無期転換希望者が続出し、5年で再雇用期間終了の予定が軒並み無期雇用に転換されてしまうので、企業側が5年経過を待たずに雇止めしてしまうリスクが高まっていました。定年退職した高齢者を雇う企業にとっては、本人の能力や健康状態を見極めながら1年ごとに有期で契約していくことにメリットがあったからです。
この企業側の声を取り入れ、無期転換を認めないで高齢者が定年後の65歳以降も少しでも安定的に働けるよう有期雇用が可能となる法案が閣議決定されました(平成26年3月7日閣議決定「専門知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案」)。今国会で特例法案を成立させ、平成27年4月1日に施行の予定となっています(5月26日現在未成立)。
この法案が成立すれば、企業側は「高度専門知識等を有する有期労働者」や「定年後に有期契約で継続雇用される高齢者」について無期転換リスクがなくなり、思い切った雇用ができることになります。特に、人手不足の業界の雇用に悩む企業には朗報です。ただし、安易に、理由もなく雇止めが可能となるのではありませんから注意が必要です。
有期契約の雇止めが認められるには、?過去に反復更新された有期労働契約でその雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められる場合か、?労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由がないと認められる場合に限られます(労働契約法第19条)から留意して下さい。