会報誌(DDKだより)
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2015年02月発行 第249号 DDKだより
巻頭言:額に汗する経営者として
石田 仁
油断していたら、あっという間に終わってしまったお正月休み。年末にお正月は何かをやり遂げなくてはと思い、?旨いものを食べる?1日2万歩を歩く?本一冊を読むことにした。多少、根性がいるのは?だが、?は簡単にクリア。?はつまらないテレビの寝正月なら、何となく読めてしまうので、あまり、達成感はない。ただ、仕事初めに情けない気持にならなくてすんだ。
『粗にして野だが卑ではない』を読む。主人公は第5代国鉄総裁、石田禮助。既に、戦前に三井物産社長を退任し、悠々自適の暮らしから、昭和38年、78歳にして初めて財界から登用される。東京オリンピック、新幹線登場の前年である。在任中、鶴見の脱線事故や深谷駅急行停車問題等、賛否両論はあるが、民間らしい知恵で国鉄合理化に力を発揮した。勲一等も辞退した野武士。国会での就任挨拶の際、議員の前で、「私は、嘘はつきませんが、知らぬことは知らぬと言うから、どうかご勘弁を」「生来、粗にして野だが卑ではないつもり。ていねいな言葉を使おうと思っても生まれつきでできない。無理に使うと、マンキ―が裃を着たような、おかしなことになる。無礼なことがあれば、よろしくお許し願いたい」と断り「国鉄が今日のような状態になったのは、諸君たちにも責任がある」と吠えた。バブル前に城山三郎が著す。経済効率やマネー中心の軟弱な世相に抗う、堂々とした決断と実行力、経営にかける情熱、精神の在り方は、失われつつある気骨の経営者像を浮きぼりにしている。
年始でお伺いした先で、感じたのは、どの社長も前向きで溢れんばかりの生気があふれていること。その口からは新しい戦略、商品が熱っぽく語られる。新年早々、「どこかお客さんはいないか」と投げかけてくる。
中小企業の経営者は、ヒト、モノ、カネと知恵をフルに活用し、自分自身の全てをかけ経営しなければ道が拓けない。容易に、石田禮助のようにはいかないが、額に汗する経営者、中小企業家として、益々のご活躍を祈念しております。
本年もどうぞよろしくお願い致します。