会報誌(DDKだより)

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2015年02月発行 第249号 DDKだより

金融・経営相談:経営者保証が不要な融資は?

Q.当社は特殊な電気機器メーカーです。業績はまず順調に推移しています。代表者の交代を検討しているのですが、銀行からの借入に際し個人保証がネックで悩んでいます。経営者の個人保証が不要な融資システム等があったら教えてください。


今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝

A.以前から貴社と同じ悩みを抱えている中小企業経営者が多くいました。実は、平成25年12月に公表された「全国銀行協会」による「経営者保証に関するガイドライン」(以下、ガイドライン)がその悩み解決に一役買ってくれることになり、経営者保証に関する課題解決の指針として今注目され、実例も出ています。
 このガイドラインは法的拘束力はありませんが、「経営者保証に依存しない融資の促進」が、業績堅調な貴社を後押ししてくれる可能性があります。但し、業績が良いというだけではなく、クリアすべき要件があり、以下ガイドラインのポイントを解説します。債務者及び経営者として求められる要件は、以下の3項目です。
1.法人と経営者との関係の明確な区分をはかる。
  債務者は、法人の業務、経理、資産所有等に関し、法人と経営者個人の関係を明確に区分・分離し、法人と経営者の資金のやりとりを、社会通念上適切な範囲を超えないよう運営に努めることです。
2.財務基盤の強化をはかる。
  事業に必要な資金を円滑に調達するために、債務者は、財務状況及び経営成績の改善を通じた返済能力の向上等により、財務基盤に対する信用力を強化することです。         
3.財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示による経営の透明性確保をはかる。           
  債務者は、資産負債の状況や事業計画と業績見通し、その進捗状況等に関する金融機関からの情報開示要求に対して、正確かつ丁寧に信頼性の高い情報を開示して説明すること。そのことにより経営の透明性の確保につながることになります。
 以上全てにおいて税理士等の外部専門家による検証、結果の開示も信頼性を高めるためには、重要なポイントです。
 一方、金融機関に求められる対応はどうかという点です。前述の債務者が順守する要件が一定程度(全要件ではなく)クリアできる見込みの有無、資金の回収可能性等を総合的に判断の
上、経営者保証なしの融資メニューを検討することになります。
  日頃から信頼関係が築かれている銀行にすぐご相談してみてはいかがでしょうか。