会報誌(DDKだより)

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2015年03月発行 第250号 DDKだより

人事労務相談:無断欠勤で解雇できるか?

Q.6ヶ月前に採用し、これまでも度々無断欠勤していたBが正月休み明けから3週間以上出社せず、何度、携帯にかけても、連絡が取れません。社員がアパート付近で見かけたと言うので、置手紙をしましたが返事がありません。当社は零細企業で就業規則はありませんが、解雇していいものかどうか困惑していいます。

今月の相談員
経営コンサルタント
社会保険労務士 石田 仁

A.解雇は就業規則の有無でその可否がきまるわけではありません。正当な理由があるかどうかが重要です。他社の就業規則に「無断欠勤2週間」で予告せずに懲戒解雇ができる規定も見かけますが、法的には所轄労働基準監督署長の解雇予告除外認定が必要です。通達も、2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合や出勤不良又は出欠常ならず、数回にわたって注意を受けても改めないケースを解雇予告不要(労働者の責に帰すべき事由)と例示しています。その場合でも、即時解雇なら解雇予告除外認定が必要です(労基法第20条1項但し書き後段、3項、昭23基発第1637号)。
 本件は、これらを踏まえつつ、あくまでも予告を前提にする普通解雇の考え方で対処しましょう。
 現在の様子ではBの雇用継続の意思確認ができません。状況確認(無断欠勤の継続、携帯通ぜず、置手紙、本人に関する目撃情報)から、雇用継続の意思がないと推定できますが、できるかぎり丁寧に確認してみましょう。
 本人に会えなくてもアパートに居住しているようなので、早速、解雇予告通知を内容証明郵便で出しましょう。「もうウチで働く意思かないとみなすよ」と貴社の意思を伝えるのです。
 解雇理由は無断欠勤を再三注意するも改善の兆しがなく、このような勤務状況が続けば社員としての職責を果たしえないと認められるから等が無難でしょう。客観的に見ても合理的な理由があり、誠実に手続きを尽くしているので、解雇は社会通念上相当であるとうなずけます。解雇権の濫用には当たりません(労働契約法第16条)。
 少なくとも解雇にあたり30日前の予告をしますから手続き的にも適正です(労基法第20条1項本文)。内容証明郵便を出す日と、所定の解雇期日は、30日以上の時間的余裕をもうけて下さい。後日のトラブルが少ないからです。