会報誌(DDKだより)
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2015年07月発行 第254号 DDKだより
巻頭:五季節を―梅雨を一つの季節として楽しみましょう
大野 幸則梅雨時です。「鬱陶しい」という言葉が挨拶代わりに交わされていますが、梅雨が不当に嫌われていると感じています。日本の風土を培ってきた季節の移ろいを四季ととらえるのではなく、私は梅雨を一つの季節として、五季節と受け止めるようにしています。鬱陶しいということではなく梅雨時があっての日本の風土だと感じているからこそです。
日本は温帯に属し、気候は温暖で四季があることがその特色と学校で習いました。北半球ではヨーロッパの一部、日本を含む東アジア地域と北米大陸の一部ということになります。最近では亜熱帯では!と思うこともしばしばですが。日本列島は海に囲まれていて、山岳地帯が背骨のように通っています。この海と背骨があるおかげで雨量が多いのだそうです。年間雨量の半分ほどが、この時期に日本列島に降り注ぎ、豊かな自然を育てることになる、決定的な季節だと思っています。
かつては梅雨に田植えする日本列島の風景でしたが、台風と重ならない、品種の改良等もあって、田植えが早まったそうです。とはいえ、稲を育て草木を育て、おいしい水、時に温泉としても湧出します。海に注いだ滋養に満ちた水が、海の生き物を育てます。日本の原風景を育んでいるのが梅雨といっても持ち上げすぎではないでしょう。
梅雨というと紫陽花です。藤、あやめ、桐と青や紫の花が咲き、私は青の季節と呼んでいます。雨に濡れた紫陽花の青は、満開の桜や秋の紅葉とも違った趣です。
天気予報などで「梅雨は鬱陶しい」という刷り込みをやめ、「感謝の梅雨」、慈雨と言い換えるよう心がけては。
暗色の雨傘が街を覆っていたこの季節、手軽なビニール傘のおかげ?で、街も明るく見えるようになりました。雨の日を楽しむ若い女性の気持ちが、カラフルな長靴の先で跳ねているのを見るのも嬉しいものです。最後に私のお薦めです。うたごえ喫茶風に歌でも歌って、心の晴れ間を楽しんではいかがでしょうか。