会報誌(DDKだより)

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2016年01月発行 第260号 DDKだより

年金相談:昭和12年4月1日以前生まれの方も65歳以降の在職老齢年金の仕組み適用へ

Q.現在78歳(昭和12年3月生まれ)、従業員2人と板金業を営む事業主です。身体が元気に動くうちは頑張ろうと役員報酬と年金をもらいながら働いてきました。日本年金機構から「70歳以上被用者該当届」が届いたため提出したら、12月から年金の額が下がりました。届出と関連があるのでしょうか。

今月の相談員
特定社会保険労務士 服部 雅恵

A.本誌251号(2015年4月発行)の年金相談で、70歳以上の方の社会保険の手続きに関し、ご質問の「70歳以上被用者該当届」について記載しました。このとき昭和12年4月1日以降生まれの方のみ、こちらの書類を提出する旨述べましたが、昨年10月1日に在職老齢年金制度が改正され、昭和12年4月1日以前生まれの方も65歳以降の在職老齢年金の仕組みの対象になりました。そのため、改めて該当者に対し日本年金機構から先の届出用紙が送られてきた次第です。つまり?65歳以降の方で、?社会保険加入事業所に常時勤めていて、?過去に厚生年金保険の被保険者期間がある方は、報酬(給与)と年金(報酬比例部分)の額に応じて、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止されることになります。老齢基礎年金部分に調整はありません。
 昭和12年4月1日以前生まれとは現在78歳以上の方です。あまり多くの方が該当するわけではないかもしれませんが、中小企業の事業主や高齢者を活用されている事業所では対象者がいる可能性があります。
 前述の被用者該当届を年金事務所に提出する際、報酬額を記載します。この報酬額に基づき、年金額との支給停止額が計算され、平成27年12月支払いの年金から改定されたわけです。支給停止額の簡易計算方法は下記のとおりです。ただし、急激に年金額が下がらないようにするため、平成27年9月30日以前より引き続き勤めている方には、報酬と年金の合計の10%が支給停止額の上限とする激変緩和措置が取られています。