会報誌(DDKだより)
DDK Newsletter
2016年03月発行 第262号 DDKだより
人事労務相談:育児休業中でも年休が発生するのですか?
Q.当社の年次有給休暇は入社日ではなく、基準日(4月1日)に一斉付与することにしています。今回、平成27年3月20日から平成28年3月19日までの1年間の予定で育児休暇を取得していた社員が1ヶ月繰り上げて2月20日に復職してきました。既に、年休は消化済みで、育休中に発生した年休を取ってもいいか聞いてきました。そもそも育児休業中の平成27年4月1日の基準日に年次有給休暇は発生するものでしょうか。今月の相談員
経営コンサルタント
社会保険労務士 石田 仁
A.出勤率の期間は入社してから、最初の6か月間、その後は1年経過ごとに判定されることになります。事案では、基準日に一斉付与されていますので、勤務が6か月に満たない社員には特別の休暇を付与し法令違反にならないように運用されていると思います。
そもそも、年次有給休暇の付与条件に「全労働日の8割以上の出勤」とありますが、実際は休んでいても出勤とみなされる日が法定されているのです。例えば、業務上災害で休んだ期間、産前産後休暇、育児・介護休暇等が入ります(労基法第39条第7項)。また、通達では、年次有給休暇を取得した日についても出勤とみなしています。いずれも其々の制度趣旨上出勤とみなし不利益を被らないようにしているのです。
したがって、育児休業期間中も勤務しているとみなされますから、年次有給休暇は昨年の平成27年4月1日に一斉付与されています。もし、勤続年数が6年6ヶ月以上あれば、20日間発生します。育児休業中は行使できませんが、復職すれば、直ちに行使できる状態になります。
事案では、平成28年2月20日に復職しましたから、最低でも20日間の年休が取得できます。そして、やがて4月1日がくれば、また新たに一斉付与され、20日間発生することになります。実に、復職後2ヶ月余りで、40日の年次有給休暇を保有することになります。
会社が、そこまで、手厚くするのは如何なものかとの気持ちも理解できます。たまたま、勤続の長い社員については相当のメリットになりますが、短い社員にはそれほどでもありません。
子育て社員は、何かと休みが必要であるし、会社も少しばかり応援していこうと考えてみることをお奨めします。