会報誌(DDKだより)

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2016年09月発行 第268号 DDKだより

金融・経営相談:機械設備の新設と固定資産税の軽減措置-経営強化法による中小企業支援―

Q.当社は食料品メーカーです。製造用機械設備の導入に対し、中小企業には固定資産税が軽減されるという情報を耳にしました。どのような制度ですか。

今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝

A.本年7月1日、「中小企業等経営強化法」が施行され、事業者の経営力を向上させるための事業計画の認定を受ければ、機械及び装置の固定資産税の軽減(3年間、半減)や金融支援等(低利融資、債務保証等)の特例措置を受けることができることになりました。申請手続きも比較的簡単(認定支援機関等が支援)で、ポイントは以下の通りです。
1.法律制定の背景
 人口減少・少子高齢化の進展や国際競争力の激化、人手不足など、中小企業を取り巻く事業環境は厳しさを増しており、持続的発展するため経営力向上(生産性の向上)を図ることが必要との判断から中小企業支援のため本法律の制定となったもの。
2.支援措置の概要/固定資産税の軽減措置を中心に解説します。
(1)「認定された経営力向上計画に基づき取得した経営力向上(生産性向上)設備に該当する機械装置」が、固定資産税の軽減措置を受けることが出来ます。
 固定資産税の課税標準が、3年間、2分の1に軽減されます。その適用期間は平成28年7月1日から平成31年3月31日までです。
(2)認定を得るための手続きから軽減措置を受けるまでの流れ
ア.中小事業者は、導入設備を決定し、設備メーカーを通じて工業会等(*A)から経営力向上設備証明書を先ず、入手します。
 《経営力向上設備の認可要件は次の通りです》
1) 販売開始から10年以内のもの。2) 旧モデルに比べ、生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エレルギー効率等)が年1%以上向上するもの。3) 1台または1基の取得価額が160万円以上のもの。
イ.導入設備の種類等を記載した「経営力向上計画認定申請書」に前記の証明書を添付して事業分野(*B)毎の担当省庁に提出し、認定を受けます。
ウ.納税時に、納税書類とともに計画認定書・計画申請書一式(写し)を自治体に提出し、納税手続きを行います。
3.計画認定申請書策定の支援機関等
 国の認定機関となっている商工会議所、商工会、地域金融機関、税理士等に相談して下さい。 
その他詳細は中小企業庁のHPアドレスをご覧ください 
  http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/index.html

*A:証明団体
 機械設備メーカー自身が所属する工業会(例:日本食品機械工業会、日本産業機械工業会など)に、工業会に所属していない場合も同様に直接申請。
*B:事業分野
製造業/卸・小売業/外食・中食/旅館業/医療/保育/介護/障害福祉/貨物自動車運送業/船舶/自動車整備