会報誌(DDKだより)

DDK Newsletter

2017年03月発行 第274号 DDKだより

巻頭:核兵器廃絶の悲願達成のために


亀井 賢伍

「ほかのだれにもこんな思いをさせてはならない」は、被爆者の最大の希いです。
 広島・長崎に原爆が投下されてから71年、国連は昨年12月の総会で核兵器禁止条約について交渉する会議の開催を求める決議案を賛成多数で採択しました。今年3月と6~7月に核兵器禁止条約を求める会議が市民の参加も得て開かれます。新たな流れがつくられることとなり歴史的一歩です。感慨一入です。ただ核廃絶の先頭に立つべき唯一の被爆国日本が反対したことは「断腸の思い」です。
 世界には、いまだに1万5千発を超える核弾頭があります。
 これまで、生物兵器は1975年、化学兵器は97年、対人地雷は99年、クラスター爆弾は2010年にそれぞれ禁止条約が発効しています。非人道性の極みである核兵器を禁じることに何のためらいが必要でしょうか。
 平均年齢80歳を超えた被爆者は、昨年4月、世界で数億を目標にした「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」を始めました。
 署名はあくまで個の意思表示、決意表明ですが、まとまれば大きな力となります。世界で5億余を集め朝鮮戦争での原爆使用を阻止した「ストックホルム・アピール」署名など実例があります。
 核兵器をなくすには、核兵器のバランスが必要だとか、段階的(ステップ・バイ・ステップ)アプローチが唯一の方法だというのはおかしな理屈にすぎません。核戦争をなくすには核兵器廃絶をめざし禁止条約を結べばよいのです。この草の根にねざした単純な常識(コモンセンス)が正しいのです。これこそ「平明な真理」(プレーン・トゥルース)です。
 核保有国の参加しない禁止条約は無意味との主張がありますが、対人地雷でもクラスター弾でも、先ず保有国抜きで禁止条約がつくられ、それが後に保有国を動かす力となったのです。
 生き残った者として「歴史から与えられた使命」を果たすため署名への賛同・協力を訴えています。