会報誌(DDKだより)

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2017年04月発行 第275号 DDKだより

巻頭:プレミアムフライデーを契機に


石田 仁

2月から始まったプレミアムフライデーは、根本的な消費回復にはならないが、新たな試みとして意義があるとも言われています。取りあえずやってみよう程度のことなら、とやかく言う必要もありません。メディアに紹介されている活用例が、お洒落なバーでの友達との飲食や昼下がりのパーティー、豪華な週末旅行だったりすると、あまりにも私たちの生活と違和感がある。女性からは、そもそも会社が制度を導入していないことや、導入しても自分たちは取引先やお客に理解が得られない仕事に従事していること、また早帰りの浮いた時間は、家事や自分の勉強に使い消費には回さない等、消極的な声が8割近くにのぼっているからです(日経ウーマノミクス・プロジェクト)。この官民連携の動機は、GDPの6割を占める個人消費が何をやっても伸びないから、「お金を使ってくれるチャンスを官民で作ろう」という点にあります。はじめにGDPありきでは、将来不安を抱えている国民は喜ばず、余裕のある会社にとどまる所以です。
 今、普及している週休2日制は、当初は月1回の土休から始まり、漸次、労働基準法が週法定労働時間を1週40時間に定めることにより、制度が担保されるようになっていきました。実現の是非は別ですが、近い将来プレミアムフライデーが週休3日制への移行を目指し、給与を減らさなくても充実した暮らしができるワークライフバランスに向かうのであれば、世間の受け止め方は多少違ってきます。本年の暦でも、土日と国民の祝日を合計し、これに各社の夏冬休みを平均で4日、さらに年休残を平均で15日と仮定すると全体の休日は135日。計算上は1週に2.6日の休日です。年休の完全消化が遅れていますから、政府が政策課題に掲げている『働き方改革』の一環として、早く長時間労働の是正や同一労働同一賃金の仕組みを実現するなら、プレミアムフライデーは少しずつ定着するでしょう。
 他方、今回を契機に、対応を迫られる個別の企業は、まず、長時間労働を是正します。そして、自社の新商品・サービスを開発し、付加価値を最大限に向上させることに力を注ぎます。差し迫る人手不足には、業界の連携をはかり、さらに多くの経営課題に取り組まなければならないことが分かってきました。
 余裕のある会社だけのことではなく、どのように実現するかが問われていると思います。