会報誌(DDKだより)

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2018年01月発行 第284号 DDKだより

年金相談:従業員がiDeCoに加入すると

Q.従業員がiDeCoに加入し、事業主払込を希望してきました。注意点を教えてください。

今月の相談員
特定社会保険労務士 服部 雅恵

A.  iDeCo(イデコ)とは個人型確定拠出年金のことです。公的年金に上乗せして給付を受けられる私的年金の一つですが、企業が加入する企業型年金とは別制度です。「個人型」とあるように個人が金融機関等に申込みをし、諸手続きや払込みをします。掛金額が全額所得控除になるといった点から今注目されています。
 iDeCoに加入すると、必然的に次の事務手続きが発生します。
(1)事業所登録<加入時>
 企業年金がある事業所に勤務する従業員かどうか等で掛金の限度額が変わるため事業所登録をします。通常、加入者が事業所に様式を提出しますので、必要事項を証明し、加入者に渡します。
(2)現況届<年1回>
 6月頃に国民年金基金連合会(以下、国基連)が加入申出時の情報をもとに、勤務先に資格の確認を行うので、証明事項を記載し、運営管理機関に提出します。
 次に、ご質問のように事業主払込希望の場合は事業主が給与天引きを行い、国基連に掛金を納付(引落)します。そのため、掛金額の変更、退職などあった場合は事業主にも手続きが発生します。個人払込の加入者と事業主払込の加入者が併存する場合は事業所登録番号が2つになりますので間違えないよう管理が必要です。
 事業主払込は毎月の給与から控除し、その掛金額は社会保険料額として、あらかじめ所得控除をします。個人払込の場合は国基連から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が加入者宛に送付されますので、年末調整時にその証明書を添付します。事業主払込は掛金額を把握し毎月所得控除しているわけですから証明書は出ません。
 また随時掛金額の変更ができますが、事業主払込の場合はルールを決めておかないと給与計算に間に合わなくなりますのでご注意を。
 今年1月から更に年単位の払込みができるようになりました。拠出限度額に応じて加入者が任意に設定できるため、手続きがより煩雑になります。事業主払込を希望されても、対応が難しい場合は従業員に個人払込に変更してもらう方がいいでしょう。