会報誌(DDKだより)

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2018年03月発行 第286号 DDKだより

金融・経営相談:中小企業信用保証制度の見直し ―今年4月1日から新しい制度がスタート―

Q.多くの中小企業が金融機関からの借り入れに際し、信用保証協会の保証を利用しているが、近々制度が大きく変わると聞きましたがどのように変わるのでしょうか?

今月の相談員
中小企業診断士
中小企業組合士 伊藤 勝

A.現在の信用保証制度は、以下の2つの保証制度を柱として、各々最大で2億8千万円まで、全国の保証協会で保証が受けられます。
1)一般保証:融資額の80%を保証協会が保証し、20%を金融機関が負担する「責任共有制度」となっています。(小規模事業者や創業者等は100%保証)
2)セーフティネット保証:自然災害時や構造不況業種(現在161業種)を対象に、一般保証とは別枠で融資額の原則100%を保証する。
 本年4月1日より改定される保証メニューにつき、以下概説します。
(1)新たに創設される保証メニュー
〈1〉危機関連保証の創設
 リーマンショックや東日本大震災のような全国規模の危機時に通常の一般保証とは「別枠」(最大2.8億円)で、保証割合100%の融資を受けられる制度として新設されます。
〈2〉特定経営承継関連保証の創設
 事業を営む会社を承継した代表者個人が必要とする「株式等取得資金」や「事業用資産等取得資金」等の融資の保証をするもので、保証割合は80%、保証限度額は2.8億円です。
〈3〉自主廃業支援保証の創設
 経営者が自主的に廃業を決断する場合に、必要となる資金(買掛金決済等つなぎ資金)の調達が円滑に行えるよう保証する制度。保証割合は80%、保証限度額は3千万円、保証期間は1年以内です。
(2)拡充又は変更される保証メニュー
〈1〉小規模事業者への支援拡充
 従業員20人以下の事業者向け小口保証が、保証限度額が現行の1250万円から2000万円に拡充されます。保証割合は100%です。
〈2〉創業関連保証の拡充
 創業チャレンジを促進するため、保証限度額が現行1000万円から2000万円と倍増。保証割合は100%です。
〈3〉セーフティーネット保証5号の保証割合の引き下げへ
 保証割合が現行の100%からから80%に変更されます。
 以上の改定は、利用者へのきめ細かな対策が盛り込まれている反面、金融機関のリスク負担の拡大(責任割合20%)により先々貸し渋りにつながることのないよう監視が必要です。